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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
勉強が苦手なことも障害に関係してるの?
勉強が苦手やと知的障害や発達障害、学習障害を疑うきっかけになるで。
こんな方に読んでほしい
●勉強が苦手な原因を知りたい
●得意と苦手が極端すぎて困っている
●学習障害について詳しく知りたい
●ワーキングメモリの鍛え方を知りたい
今回の記事で、勉強が苦手な子どもの障害を早く発見し、早期支援につなげることができます。
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勉強が苦手になる5つの原因とは?
いろいろ工夫してるけど、どうしても勉強が苦手な子どもっておるんよね。
そんなときは、障害との関係を考えるのも1つの手やで。
勉強が苦手になる5つの原因
①知的能力が全般に低い:知的障害
②言語面の能力だけ低い:言語障害
③ある領域の学習能力だけ極端に低い:学習障害(限局性学習障害)
④注意力や課題遂行能力の問題:ADHD(注意欠如・多動症障害)
⑤こだわりが強く、関心が偏る:自閉スペクトラム症(ASD)
ただし、子どもの特性は様々で重なり合うこともあるから、現実では①~⑤はスパッとわかれるものじゃないのは注意やね。
①知的障害
知的障害ってなに?
知的障害とは
知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの
文科省HP「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」より
知的能力が全般的に低い場合に知的障害を疑ったらいいで。
どんな子ども?
・言葉の発達が遅れている
・成績が全体的に低い
・IQ69以下の子ども
※境界知能(IQ70~84)の場合は、気づかれにくく支援からもれやすい
②言語障害
言語障害ってなに?
言語障害とは
発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況であること、また、そのため本人が引け目を感じるなど社会生活上不都合な状態であること
文科省HP「(6)言語障害」より
言語面の能力だけ特に低い場合に言語障害を疑ったらいいで。
どんな子ども?
・国語や社会が極端に苦手
・話す言葉がたどたどしい
③学習障害(限局性学習障害)
③学習障害(限局性学習障害)ってなに?
学習障害(限局性学習障害)とは
全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態
文科省HP「(8)学習障害」より
知能全般は正常範囲やねんけど、ある領域の学習能力だけ極端に低い場合は学習障害(限局性学習障害)を疑ったらいいで。
どんな子ども?
1つの領域(漢字を書く、文字や文章を読む、計算や算数など)が極端に弱い
後で、もっと詳しく説明するで。
④ADHD(注意欠如・多動症障害)
ADHD(注意欠如・多動症障害)ってなに?
ADHD(注意欠如・多動症障害)とは
身の回りの特定のものに意識を集中させる脳の働きである注意力に様々な問題があり、又は、衝動的で落ち着きのない行動により、生活上、様々な困難に直結している状態
文科省HP「(9)注意欠陥多動性障害」より
注意力が弱かったり、課題に集中して取り組めない場合にADHDを疑ったらいいで。
どんな子ども?
・集中力が維持できない
・提出期限が守れない
➡学業に支障をきたしている
⑤自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)ってなに?
自閉スペクトラム症(ASD)とは
①他者との社会的関係の形成の困難さ
②言葉の発達の遅れ
③興味や関心が狭く特定のものにこだわること
を特徴とする発達の障害
文科省HP「(7)自閉症・情緒障害」より
こだわりが強くて、興味関心が偏ってる場合にASDを疑ったらいいで。
どんな子ども?
・好きな教科しか勉強しない
・細かいところばかり気を取られる➡効率が悪い➡成績が悪くなる
気づかれにくい 境界知能と学習障害
ここからは、周りに気づかれにくい境界知能(IQ70~84)と学習障害(極限性学習障害)について、より詳しく勉強していこか。
境界知能(知的障害グレーゾーン)
境界知能は、知的障害とまでは診断されない、IQ70~84の人やったね。
知的障害:IQ69以下
境界知能:IQ70~84
IQって知能検査を受けたときの体調や気分で変わるねん。だから、完全に決まった数字ではなく、「大体これくらいかな?」という目安として考えてや。
境界知能の子どもは気付かれにくいん?
気付かれにくい境界知能の子ども
言語や社会性の能力が比較的高い子ども
➡周りとのコミュニケーションに問題がないので気づかれにくい
でも、勉強内容が難しくなると努力だけではついていけなくなってくるねん。
勉強についていけなくなるとどうなるか?
・挫折を経験する
・自信を失う
・親と関係が悪化
➡反抗・非行・依存的行為(ゲーム、恋愛、薬物など)・引きこもりなどにつながる可能性
知能検査とかをして子どもの現状を知って、支援を受けることが大切やね。
IQを測る知能検査は、田中ビネーとかウィスクが一般的やね。興味のある人は次の記事も参考にしてみてや👇👇
学習障害の6つの領域と3つのタイプ
まわりに気づかれにくいケースとして、学習障害についても詳しく学ぼう。
学習障害(限局性学習障害)とは
全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態
文科省HP「(8)学習障害」より
学習障害を詳しく見ていくと、6つの領域と3つのタイプがあるねん。
なるほど。苦手な領域を知ることで学習障害のどのタイプかがわかるってことやね。
そして、どんな支援が必要かもわかってくるよね。
学習障害が疑われたらどうする?
どの学習障害を持ってるかはどうやったらわかるの? 学校の成績?
学校の成績や授業の様子はめちゃめちゃ参考になるで。
そして、知能検査でわかることもあるで。
ウィスク(知能検査)でわかる学習障害
よく使われてる知能検査でウィスクっていうのがあるねん。
最新はウィスクファイブ(WISC-Ⅴ)やな。
WISC-Vの概要
●対象年齢:5~16歳
●検査時間は1時間程度(子ども相手だと90分以上かかる)
●出てくる数値
①FSIQ:全体的な知能のレベル(IQと同じ)
②5つの能力:5つの領域別に数値が出る
WISCーVでわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
言葉の理解力、やり取りする力
②視空間(見る力)
どこに何があるかイメージしたり理解する力
③流動性推理(見る力)
その場の状況を判断して対応する力
④ワーキングメモリ(短期記憶)
見た・聞いたことを少しの間覚える力
⑤処理速度(見て単純作業をする力)
見たものを書き写すなどの単純作業を素早く正確に行う力
見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力
学習障害の子どもは①言語理解と④ワーキングメモリが弱いことが多いで。
言語理解
学習障害と関係がある言語理解ってどんな力なん?
言語理解(言葉の力)
言葉の理解力、やり取りする力
言葉を使って説明したり、理解する力のことやね。
言語理解の力が弱いと、教科書に何が書いてるかわからなくて困ることが多いんよ。
言葉が苦手やから、文章を読む・理解するのが難しい【読字障害】とか、文字や作文を書くのが苦手【書字表出障害】になりやすいんやね。
ただし、言語理解の力だけが低いときは、言語障害(言語面の能力だけ低い)の可能性もあるから、子どもをよく見たり、話を聞くことが大事やで。
ワーキングメモリ
じゃあ、ワーキングメモリは?
ワーキングメモリ(短期記憶)
見た・聞いたことを少しの間覚える力
長い話をされると途中で何を言ってるかわからなくなるときあるやん? ワーキングメモリが弱いと、短めの話でも「これって何の話やったん?」って困っちゃうんよ。
長めの話とか文章を理解するのが苦手やし、学習障害になりやすいんやね。
ワーキングメモリの力が弱い場合
言葉や数字を頭にとどめておくことができない
➡長い文章の理解や複雑な計算ができない
ワーキングメモリを詳しく解説
言語理解が言葉の理解力とか表現力っていうのはわかる。
でも、ワーキングメモリがいまいちわからないなぁ。
ワーキングメモリと学習障害の関係を詳しく解説しよか。
ワーキングメモリはどんなもの?
ワーキングメモリは、見た・聞いたことを少しの間、覚える力。
だから、記憶したり思考したりするときにフル活用されるねん。
コンピュータのCPU(中央処理装置)のような役割
ワーキングメモリが高い:CPUが高い➡パソコンは速いスピードで情報処理ができる
ワーキングメモリが低い:CPUが低い➡パソコンはフリーズして処理が遅くなる
つまり、ワーキングメモリが低いと、多くの情報に対処できないってことやね。
ワーキングメモリが低いと出てくる苦手
ワーキングメモリが低いと、どんなことが苦手になるの?
ワーキングメモリが低いとでてくる苦手
◇読み・書き・計算が苦手
長文の読解、作文、数学の応用問題ができない
◇話を聞くのが苦手
先生の指示が頭に入らず、上の空になっている
仕事の内容を聞き漏らす、聞き間違う、ミスにつながる
◇社会的コミュニケーションが苦手
相手の表情や空気の変化に気付かず、場に合った行動や気遣いができない
他人とのやり取り(社会的コミュニケーション)も苦手になっちゃうんやね。
たくさんの情報を頭の中に置いとくことができないから、苦手が多いんよ。
数唱でワーキングメモリの力を測る
ワーキングメモリの力を測る方法として、「数唱」課題がよく使われるで。
すうしょう?
うん。簡単に言うと、数字を読んでいく検査やで。
数唱【ワーキングメモリを測ることができる】
◇順唱:ランダムに並んだ数字を読み上げて、そのままの順番で唱えさせる。
◇逆唱:ランダムに並んだ数字を読み上げて、逆の順番で唱えさせる。
単純な検査やけど、社会的コミュニケーションの力を見るために一番重要な検査やねん。
ワーキングメモリを鍛えると知能全体も上がる
学習障害と関係があるワーキングメモリ。実は鍛えることができるねん。
えぇ! そうなんや!!
しかも、ワーキングメモリを鍛えると、他の能力を高める効果(波及効果/転移効果)もあるねん。やからめっちゃオススメ!
ワーキングメモリの波及効果
ワーキングメモリを鍛えると、知能全体を高めることができる
ワーキングメモリを鍛えよう
どんな方法があるの?
ワーキングメモリを鍛えよう【初級】
百マス計算:単純な計算をくり返す
ワーキングメモリを鍛えよう【中級】
暗唱:文章を読む ➡ 覚える ➡ 声に出す
ディクテーション:聞き取りながら、書き取る
リピーティング:聞き取った文章をくり返す
暗唱・ディクテーション・リピーティングは、一言一句正確に覚えるのではなくて、内容を押さえて、すべての項目を表現した要約を意識した方が効果的やで。
ワーキングメモリを鍛えよう【上級】
シャドーイング:聞き取りながら、同時に声を出して、繰り返す
文章の読み取り:読み取った文章をできるだけ覚えて書き写す
読み取った文章の要点を買いとめる
算数の文章題を聞いて、頭の中で解く
【ワーキングメモリを鍛える+つまずきにあった学習プログラム】で知能全体を鍛えていくことができるんやで!!
一番大事なことは、自信を取り戻すこと
ただ、一番大事なことは自信を取り戻すことやねん。
どういうこと? 学習障害の人は自信がないの?
勉強が苦手やと、学校で失敗経験/怒られる経験をたくさんしてくるねん。そして自信を打ち砕かれてしまって、できるはずのことができなくなってることも多いねん。
だからこそ、自信を取り戻すことが大事なんやね。【勉強なんかで子どもの価値は決まらない!】ってことを本人にも伝えたいね。
自信を取り戻す方法
好きなことや得意なことをして、達成感や成果を味わうこと
何かに一生懸命取り組んでる姿はステキやし、そんな自分を少しでも好きになってほしい。
行動しよう(今の小さな変化が未来の大きな変化につながる)
勉強した後は行動することやで。今の小さな積み重ねが未来の大きな変化につながるんやで(^^)/
わかった!これからもまだまだ学んでいくぞー!
▼発達障害については下の記事でも詳しく解説しています▼
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