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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。

子どものディスレクシアってなに?

発達性ディスレクシア。発達性読み書き障害と言った方がわかりやすいかな。今日は読み書きが苦手で悩んでるディスレクシアについて学んでいこか。
こんな方に読んでほしい
●子どもがディスレクシアかもしれない
●クラスに読み書きが苦手な子どもがいる
●ディスレクシアへの支援方法を知りたい
今回の記事で、ディスレクシアの子ども支援の全体像をイメージできるようになります。

絶対にできるようになるからね!今日は下の本で学んだよ♪

マンガのストーリーが良いし、間にある解説も対談式やから、一気に読んでしまったわ!学校の対応に考えさせられる場面も多いから、先生にこそ読んでほしい1冊。

上の続編。マンガ少なめで解説がメインやで。ディスレクシアの子どもの苦悩に涙が出そうになったわ。「こんな支援ができるかも!」と考えるきっかけになる本。

支援者の手元にぜひ置いてほしい1冊。基本的な知識を広く押さえつつ、さらに深く知りたいと思ったときに、参考になる情報や次に読むべき本も紹介されてるで。

専門用語が大丈夫な人にオススメ。言葉は難しいけど、解説が整理されててわかりやすいし、後半の支援プログラム集は、写真とイラストが多くて、すぐ活用できるで。
▼動画もぜひ見てください!
▼勉強ノート(内容を1枚にまとめたで)

ディスレクシアとは

発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)って、どんな障害なん?

発達障害の一種※で、読み書きだけが苦手な障害やで。
※発達障害の学習障害(LD)や限局性学習症(SLD)と診断されることが多い
➡ディスレクシアという診断名は医学的な診断基準には存在しない

話したり・聞いたりすることは問題ないの?

うん。話す・聞く・計算・内容理解もできるで。読み書きだけが苦手やねん。だから、知的障害とは違うものとして考えられてるで。
ディスレクシアとは
発達障害の一種で、読み書きだけが苦手
①通常の読み書き練習をしても、音読ができない/文字が書けない
②音読ができたとしても、読むスピードがとても遅い
③文字の形が思い出せなくて、文字が書けない/よく間違える
④文字を書けたとしても、書くスピードがとても遅い
小中学校で40人に1人いる

ディスレクシアの子どもは、どれぐらいおるん?

小中学校で40人に1人おるで(2.5%)※1。別の調査では、小学生で漢字が読めない・書けない子どもは40人に3人おる※2とも言われるねん。
※1『読み書き障害(ディスレクシア)のある人へのサポート入門、28頁』
※2『うちの子は字がかけないかも」と思ったら、18頁』
文字が読めない・書けない小学生の割合
◇ひらがな
読めない0.2% 書けない1.6%
◇カタカナ
読めない1.4% 書けない3.8%
◇漢字
読めない6.9% 書けない6.0%

けっこう人数がおるわりに、あんまり知られてないんよね。

なんでやろ? 文字を書くっていうのが当たり前すぎて「努力不足」とみなされてしまうんかなぁ。
【年齢別】ディスレクシアのチェックリスト

目の前の子どもがディスレクシアかどうかはどうやったらわかるん?

ちゃんと診断してもらうんやったら、病院などで検査するのがいいで。

病院に行くほどかどうかもわからんねんけど…。

じゃあ、次のリストをチェックして病院に行くか判断したらいいで。
【年齢別】ディスレクシアのチェックリスト
①年長児
文字の学習に関心がない
②小学校低学年
似た文字が見分けられない
③小学校3~6年生
黙読できない/書けないひらがながある
④中学生以降
英語の読み書きができない/試験で点数が取れない

ただし、子どもによって読み書き障害の状態は全然違うねん。だから、支援を進めていくときには、検査をしたり、支援の方針を立てることが大事になってくるで。
①年長児:ディスレクシアのサイン

年長児ってことは5~6歳ぐらいの子どもやね。ちょうど、ひらがなの学習がはじまるぐらいかな?

ディスレクシアの年長さんは、文字の学習に関心を示さないことが多いで。
年長児のディスレクシアのサイン
・文字の学習に関心がない
・しりとり遊びができない
・絵本を自分から読まない

ただし、文字に興味がなくても、小学1年生の夏休み前までは、あんまり気にしなくていいで。

小学1年生の夏休み前?
1年の夏休みになると、ほとんどの子どもがひらがなを読んだり書いたりできるようになる

なるほど。だから、それより小さい頃は、子どもひとりひとりの発達にかなり違いがあるから、焦らなくても大丈夫ってことやね。

年長さんの子どもを見てる先生や親は、その子が、どんなことができて、どんなことができないのか、よく見ておくことが大事やで。
②小学校低学年のサイン

小学1年生の夏休みごろには、ほとんどの子どもがひらがなを読んだり書いたりできるようになるんやったね。

小学校に入ると、文字を使って学習することが増えてくるから、子どもの悩みが大きくなっていくんやで。
小学校低学年のサイン
・似た文字が見分けられない
➡「ぬ」と「め」、「わ」と「ね」など
・文章を読むスピードがとても遅い
・飛ばし読みが何度もある

小学1年生の夏休みの後に、ひらがなの読み書きができてないと要注意やで。先生や専門機関に相談してみたらいいで。

ひらがなの読み書きっていうと50音?

うん。小さい「ゃ・ゅ・ょ・っ」は、まだ苦手でもいいで。
③小学3~6年生のサイン

学習内容がどんどん難しくなるから、ディスレクシアの子どもには個別の支援が重要になってくるで。
小学校3~6年生のサイン
・黙読ができない
・書けないひらがながある
・特殊なひらがなが読めない・書けない
➡小さい「ゃ・ゅ・ょ・っ」
➡「え・へ」「お・を」「は・わ」の使い分け

「ひらがな、カタカナはわかってるやろ?」っていう大人の思い込みが一番危険。子どもが何ができて、何ができてないのかをしっかり見ることが大事やね。
④中学生以降のサイン

中学生以降は、英語が本格的に始まるし、試験も厳しくなる。ディスレクシアの子どもへの個別の支援や配慮は必須になってくるで。

定期試験は、「漢字で書きなさい」って言われたりするもんね。
中学生以降のサイン
・英語の読み書きができない
・試験で点数が取れない

ちなみに、英語のディスレクシアの数は日本語の2倍ぐらい多いんやで。

へぇ~。確かに、英語は日本語より複雑やもんね。

だから、英語だけが特にできない読み書き障害があるんよ。

年齢に合わせた支援についてもっと知りたい人は、この本を読んでほしい。
まずは、ひらがなの読みをチェック

チェックリストが当てはまったら、「どこに困難があるのか?」をしっかりと把握することが大事やね。まずは、ひらがなが読めるか調べよか。
ひらがなが読めるか?
50音のひらがなをランダムに出して読めるか
※あいうえお・かきくけこ・さし~と順番はダメ
➡音で覚えてることも多いから

やっぱり、こんな検査とかをした方がいいの?

その子の苦手を「なんとなく」で理解するんじゃなくて、面接や検査を通して苦手の中身を具体的に知ることが大事やで。
ディスレクシアの診断

ディスレクシアの診断は誰にしてもらえばいいの?

発達障害の一種※やから、病院の先生(小児科や精神科など)に診断を出してもらう必要があるで。
※発達障害の学習障害(LD)や限局性学習症(SLD)と診断されることが多い
➡ディスレクシアという診断名は医学的な診断基準には存在しない

ただ、学校とか児童相談所、発達支援センターなどでも相談に乗ってくれるで。

子ども園や学校、発達支援センターなどの相談機関、病院、いろんなところが相談に乗ってくれるってことやね♪
苦手のなかみを調べよう

発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)の子どもを支援するためには、その子の現状を把握することが必要やねん。

子どもの現状?

具体的に何が苦手で、どんなことに困っているのかを理解することやね。
ディスレクシアの現状を知る
①検査をする
②読み書きができない原因を探る
③得意なところも見つけておく
①検査をする

読み書き障害に関連する検査は、どんな検査があるの?

知能検査や、読み書きの力を測る検査をすることが多いで。
❶知能検査(WISC:ウィスク)
・語彙(言葉の数)が少ないか?
・文字の形がイメージできない?
・文字の形を覚えていられない?
・文字を書くのが遅い?
➡知的障害との区別もできる

WISCの本体は、日本文化科学社から購入できるで。ただし、個人で買うことはできないから、所属機関を通じて購入する必要があるで。
❷標準読み書きスクリーニング検査(STRAW-R:ストロウ・アール)
・読みは正確・スムーズにできるか?
※対象は小学1年~高校3年生
・字を正確に書けるか?
※対象は小学1年~中学3年生

この検査は市販されてるで。
❸中学生の英単語の読み書きの理解(URAWSS-English:ウラウス・イングリッシュ)
・英単語の読み書きは正確か?
※対象は中学1~3年生

グーグルさんで「URAWSS-English ataclab」で調べたら、購入ページにいけるで。「手引き」と「課題用紙」が必要やから、買うときには気をつけてや。
②読み書きができない原因を探る

読み書きができない原因?

読み書きができないことには3つの原因があるって言われてるねん。
読み書きができない原因
❶視覚:文字や物を正確にとらえる力が弱い
・文字の形を正確に見れていない
❷音韻処理:言葉を扱う力が弱い
❸運動(小脳):身体をうまく動かせない
・言葉がスムーズに出ない
・姿勢のバランスが保てない
・不器用さがある

❷音韻処理をもっと詳しく教えてほしいな。

音韻処理は言葉を扱う力やから、この力が弱いと言葉遊びができないねん。
❷音韻処理:言葉を扱う力が弱いとどうなるか
・次のような問題ができない
➡「あたま」から「あ」を取るとなに?
➡「きつね」を逆から言うとなに?
・無意味単語音読ができない
➡意味なく並んだ単語をスムーズに読めない
・しりとり課題ができない
➡しりとりで遊べない
③得意なところも見つけておく

けん玉が得意とかってこと?

読み書き障害の子どもは、聞く力と語彙力をチェックやで!
読み書き障害の子どもの得意なことを探す
・聴覚的記憶力はどうか?
➡音声読み上げなどの支援が有効かがわかる
・語彙力(知っている言葉の数)は?
➡文章の読み取りに重要
支援の方針を立てる

子どもの現状が把握できたら、次は支援の方針を立てよっか。

その子をどうやって支援していくかってことやね。
支援には2つの方向性がある

支援には2つの方向性があるってことをまずは意識してほしいな。
支援の2つの方向性
❶できないことをできるようにする
読み書きができない
➡読み書きできるようにトレーニングしよう
❷できないことは別の方法で補う
読めない➡読んでもらおう
書けない➡キーボードで打とう
※パソコンなどの補助ツールを使おう

どっちの支援をしてるか意識するってことか。どっちの支援が大事なん?

両方大事やで。この2つは、対立するものじゃなくて、補い合うものやねん。

どっちかを選ぶものではなくて、両方とも大事ってことか。
2つの支援のバランス

支援には2つの方向性があるってことはわかった。
でもじゃあ、どうやって支援していけばいいん?
支援の2つの方向性(おさらい)
❶できないことをできるようにする
❷できないことは別の方法で補う

年齢や困難さの状況をみて、2つのバランスを考えていくことが大事やで。
ひらがなの練習はいつまでする?
◎小学1年生は、読める/書けるようになるための読み書き練習がとても大切
✖高校生のひらがなれんしゅうはやる気が起きない
➡補助ツール(パソコンやタブレット)を使う方が、やる気も出るし、生活にも役立つ

確かに、高校生になってもずっとひらがなばっかり練習するのはイヤになるよね。

小学校2年生ぐらいまでは読み書き練習が中心。小学校3年生以降は補助ツールの割合をどんどん増やしていけばいいで。
読み書き練習と補助ツールのバランス
◇小学1年生
ひらがな・カタカナを覚える
(カルタやゲームで楽しく取り組む)
◇小学2年生
1・2年の漢字を覚える
(カルタやゲームで楽しく取り組む)

小学1、2年生はひらがな・カタカナ・漢字の読み書きができるようになるためのトレーニングが中心やね。
読み書き練習と補助ツールのバランス
◇小学3~6年生
無理のない読み書き練習
補助ツールの利用
(学習意欲を下げない工夫)
◇中学・高校生
補助ツールをどんどん使う
(読み書きの負担を減らす)

小学3年生以降は、補助ツールの利用をどんどん増やしていくって感じか。

あとは、子どものやる気(学習意欲)を低下させないことが大事やで。
学習の目的

年齢が上がるにつれて、学習の目的を意識することが大切になるで。

学習の目的?
学習の目的は?
情報を理解し、自分の意見や考えを整理し、相手に伝えることができること

文字を読んだり書いたりするのは、目的のための単なる手段やもんね。

文字の読み書き以外にも手段はたくさんある。だから、パソコンなどの補助ツールを使って、「いろんな手段をゲットしようぜ」ってことやね。
補助ツールの利用

今は、みんなパソコン持ってる※から、補助ツールが使いやすいね。
※1人1台端末(2019年~)
小中学校の子ども全員に、パソコンかタブレットが割り当てられた

パソコンやタブレットを使ったら、どんなことができるん?
補助ツールの利用
◇読めない子どもへの支援
・文字の読み上げ機能
・文字の拡大
◇書けない子どもへの支援
・文字を音声で入力
・文字をキーボードで入力
・写真での記録

画面の色とか明るさを変えたりもできるよね。

実際の設定方法とか詳しいやり方・使い方が気になる人は、下の本を参考にしてや。
合理的配慮

補助ツールの利用やけど、学校にはどこまでお願いできるん?

どこまでできるかはわからんけど、ちゃんと学校に相談してや。合理的配慮をしてもらうんやで。

合理的配慮?
合理的配慮とは
障害のある人が「なんらかの対応」が必要な場合
➡負担が重すぎない範囲で対応する義務がある

例えばどんな配慮をしてくれるん?

補助ツール(パソコンやタブレット)をいろんな場面で使わせてくれたり、テストとかでも気をつかってくれるで。
テストでの合理的配慮の例
・別室で受ける
・時間を延長する
・問題を音声で読み上げる
・口頭での解答を認める など

けっこういろんなことをやってくれる可能性があるんやね。
ディスレクシアは治るのか?

ディスレクシアはトレーニングしたら治るん?

障害は病気じゃないから、治ることはないで。もし、トレーニングで読み書きができるようになっても、苦手は残るんよ。

文字が読み書きできるようになっても、得意になることはないってことか。

だから大事なのは、「子どものどんな未来を描くのか?」ってことやね。
子どものどんな未来を描くのか?
将来の仕事を考えるときに、苦手な読み書きで勝負する必要はない
➡この子が生き生きと働ける仕事や環境はなにか? を考えていく
行動しよう(今の小さな変化が未来の大きな変化につながる)

勉強した後は行動することやで。読み書き障害かな?と思ったら、とりあえず行動してみる!

今日もいっぱい学んだなぁ~。自分がちょっとでもできることがないか考えてみるわ。

うん。今の小さな一歩が大きな未来につながっていくんやで!
また学んで行動していきましょ!







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