※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。
このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。１０年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
発達障害やと、いろんなことに過敏に反応するってほんま？
うん。発達障害には【過敏】っていう特性があるで。ただ最近は、愛着障害や繊細さん（HSP）が背景にある「過敏さ」も注目されてるねん。一緒に勉強していこか。
こんな方に読んでほしい
●音やにおい、触られることに強く反応
➡または反応する子どもが身近にいる
●子どもの敏感さに悩んでいる親や先生
●過敏さについて理解を深めたい
●具体的な対処法を探している
今回の記事で、過敏さへの理解が深まり、次の行動に踏み出すことができます。
絶対にできるようになるからね！今日は下の本で学んだよ♪
発達障害を学びたい人の必読書やな。著者が発達障害と愛着障害の専門家やから、「過敏さにはいろんな背景があるんやな」と理解が深まったで。
上の本の著者、岡田さんが監修した「愛着障害」についてのマンガ。大人の愛着障害について知りたい人にオススメ。愛着障害のイメージをつかむのに最適やな。
▼動画もぜひ見てください！
▼勉強ノート（内容を１枚にまとめたで）
過敏さの２つの種類
過敏ってそもそもなに？ ちょっと触られただけでくすぐったいとか？
ふふふ、例えがかわいいな。 過敏さには２つの種類があるって言われてるねん。
過敏さの２種類
①神経学的過敏さ：感覚過敏
②心理社会的過敏さ：人の反応に敏感
確かに言われてみたら、両方とも「過敏」って言うかも！
①神経学的過敏さ：感覚過敏
①神経学的過敏さってどういうこと？
簡単に言うと、感覚が過敏ってこと。大きな音が苦手やったり、人に触れられるのが苦手やったりするで。
神経学的過敏さ：感覚過敏とは
五感（視覚👀、聴覚👂、味覚👅、嗅覚👃、触覚👆）が敏感
なんとなくイメージはできるけど、例えばどんなこと？
感覚過敏の例
👂大きな音が苦手で泣いてしまう
避難訓練の非常ベルでパニックになる
👅偏食
・特定の食べ物ばかりを好む
・絶対に食べられないものがある
👃特定のにおいが好き／嫌い
特定のにおいをかぐだけで安心する
👆触られるのが極端に苦手
すごく嫌がったり、落ち着かなくなる
音に敏感な子どもはイヤーマフをつけてることも多いよね。
発達障害の子どもは、感覚過敏があることも多いで。
②心理社会的過敏さ：人の反応に敏感
②心理社会的過敏さは、人の反応に敏感なん？
そう。人の目とか顔色、反応に敏感なことを心理社会的過敏さっていうねん。
心理社会的過敏さで苦しむ人びと
他人の反応に過敏に反応しちゃって、多くの人が苦しんでるねん。
そんなにたくさんの人が苦しんでるの？
「繊細さん」とか「HSP：Highly Sensitive Person」に関する本が流行って、一般的にも広がってきたで。
苦しんでる人が「私もそうや！」って共感されることで広がってきたんかな。
これまでは「あんたが気にしすぎや！」って言われて悩んでた人にとっては、「苦しみを言葉にしてくれてありがとう」って感じやね。
繊細さん【HSP】とは
繊細さんのことについて教えて。
繊細さんは、HSP：Highly Sensitive Person（敏感すぎる人・とても敏感な人）っていう考え方がベースになってるで。例えば、次みたいな人やで。
繊細さんの例
●冗談交じりのささいな一言なのに、受け流せずにグサッときてしまう
●職場で機嫌が悪い人がいると、気になって仕事が手につかなくなる
●家の外の自動販売機の音が気になる
●相手の気持ちを考えすぎて、自分の意見が言えない
引用：「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本
いろんなことに気がつきすぎて疲れてるんやね。
ちなみに、子どもやったらHSC（Highly Sensitive Child）と言われるで。繊細な子どもへの対応には注意したいところやね。
HSPは医学的な言葉ではない
ただし、これだけ広まってきた繊細さん（HSP）やけど、実は医学的な言葉ではないねん。
じゃあ病気や障害じゃないってこと？
HSPは医学的な言葉ではない
・HSPは病気や障害の名前ではない
・正式な診断基準はまだ確立されていない
・敏感なだけでは発達障害にも他の精神疾患にも診断されない
ただし、苦しんでる＆配慮が欲しい人がたくさんおるってわかってきたから、今後はどうなるかはわからないけどね。
大切なのは、診断名よりも「ひといちばい過敏」っていう特性を理解して有効な対処につなげることやね。
３つのタイプ
過敏な人たちには３つのタイプがあるねん。
過敏な人の３タイプ
①自閉スペクトラム症（ASD）
②不安型愛着スタイル（繊細さん）
③恐れ・回避型愛着スタイル
どんなことに過敏に反応するかは、タイプによって違うんやで。
タイプ① 自閉スペクトラム症（ASD）
発達障害のひとつ、自閉スペクトラム症【ASD】は「過敏さ」の特性を持つことが多いで。
どんな過敏さ？
ASDの過敏さは、感覚過敏を指すことが多いで。
ASDの過敏さ
●神経学的過敏さ➡強い
●心理社会的過敏さ➡弱い
大きな音が苦手とか偏食みたいに、感覚は過敏やけど、他人の顔色や周囲の反応には無関心ってことやね。
ちなみにASDの特徴に【こだわり症状】があるんやけど、感覚過敏はこだわりのひとつやねんで。こだわりについて詳しく知りたい人は、次の記事をみてや。
タイプ② 不安型愛着スタイル
次のタイプは、不安型愛着スタイル。これは愛着障害のひとつやね。
不安型？
まずは、不安型愛着スタイルについて説明していこか。
不安型愛着スタイルの過敏さ
不安型の特徴は、まわりの人のことを考えすぎるってことやね。
不安型の最大の関心事
「人に受け入れられるかどうか」「人に嫌われていないかどうか」
➡常に周囲に気をつかい、相手の反応が少しでも悪いと不安になる
空気を読んだり、相手の気持ちをくみ取ることは社会で生きていくために大切な力。でも、疲れそうやね。
気をつかいすぎて疲れやすかったり、相手優先で損をしてしまうことが多いんよね。
このタイプはどんな過敏さがあるの？
不安型愛着スタイルは、感覚過敏もあるし、まわりの反応も気になりすぎるのが特徴。
不安型の過敏さ
●神経学的過敏さ➡ある
●心理社会的過敏さ➡強い
感覚過敏もあるし、他人の顔色や周囲の反応にもめちゃめちゃ気をつかってるタイプやね。
HSP（繊細さん）について、現時点では不安型愛着スタイルに入れておく
※HSPは医学的概念ではないが、症状などを見ると不安型愛着スタイルとほぼ同じだから。
ASDタイプとの見分け方
①のASD（自閉スペクトラム症）タイプとの見分け方はあるん？
不安型愛着スタイルとASDとの見分け方
①育った環境に注目
常に親の顔色をうかがう家庭で育った
➡不安型愛着スタイル
②社会的コミュニケーション力に注目
相手の気持ちが分からない・アイコンタクトが取れない・場に合った言動ができない
➡ASDタイプ
不安型の親は過干渉なことが多い。「ゲームだめ、恋愛ダメ、あの子と遊ぶのはダメ！」と禁止事項が多くて、子どもへの期待が高すぎて、命令やルールも多い。
禁止事項・命令・ルールが多いから、親の顔色をうかがって生きてきたんやな。
ちなみに、ASDと不安型の両方の傾向を持ってる場合もあるで。
ASDと不安型の両方の傾向を持つ場合
生まれつきASD傾向の人が、親の過干渉やいじめで不安型を引き起こす
※親の過干渉が起きやすい
➡発達が遅い子どものために、いつまでも親が判断をする／口を出す／手を貸す
※いじめられやすい
➡ASDに対する無理解
両方の傾向を持ってる場合はかなりしんどい…。ASD傾向で人の顔色とか反応を読み取るのが苦手やのに、それを気にしてビクビク、不安になっちゃってるから。
タイプ③ 恐れ・回避型愛着スタイル
過敏な人の３つ目のタイプは恐れ・回避型愛着スタイル？
これも愛着障害のひとつやで。相手の反応や評価、自分が受け入れられているかを気にする。でも、傷つくのがイヤで他人と親密な関係を持つのを避ける特徴がある。
恐れ・回避型愛着スタイルの例
●一人でいると不安で人と仲良くしたい。でも、親密になると強いストレスを感じたり、傷ついてしまう。
●人間関係で距離を取りたい。でも、他人の目が気になり、人と関わって相手を信じようとしてより傷ついてしまう。
気持ちと行動のズレが大きくてしんどくなっちゃってるんやな。
恐れ・回避型の過敏さ
●神経学的過敏さ➡強い
●心理社会的過敏さ➡強い
※強い人間不信が特徴的
過去にトラウマになる出来事を経験して、強い人間不信になってることも多いで。
恐れ・回避型はASDと行動が似ている
新しい人間関係が苦手やから、新しい取り組みにも消極的やねん。
そうなると、行動がASD（自閉スペクトラム症）と似てくるんよね。
ASD（自閉スペクトラム症）の特徴
【社会的コミュニケーション障害】＋【２つ以上のこだわり症状】
恐れ・回避型はASDと行動が似ている
◇社会的コミュニケーション障害のような行動
コミュニケーション能力が元々あっても、人間関係を避けているとスキルが低下する
➡「できない」のか「できるけどやらない」のか、まわりからはわからない
◇こだわりがあるような行動
新しい取り組みを避けていると、毎日が同じ行動パターンになりがち。
➡ある行動パターンにこだわっているように見える
他のタイプ（ASD・不安型）との見分け方
恐れ・回避型は、他の２つのタイプと見分けることができる？
他のタイプ（ASD・不安型愛着スタイル）との見分け方
①育ってきた環境に注目
虐待やいじめを経験してきた
②人への不信感に注目
他人は信じられないという思いがとても強い
➡恐れ・回避型愛着スタイル
より深刻な状況になるのはASD（自閉スペクトラム症）がベースにある場合やね。
恐れ・回避型のベースにASDがあるときが深刻
ASDの人が虐待やいじめなどで恐れ・回避型を引き起こしてしまう
➡人間不信や疑う気持ちがとても強い
➡社会的コミュニケーション障害やこだわりによって孤立しやすい
愛着を安定させるアプローチが効果的
恐れ・回避型になってしまう原因は何なん？
親との死別・離別や虐待が原因やったり、親とのミスマッチで起こることもあるで。
親とのミスマッチで起こるってことは、どんな家庭でも起こる可能性があるってことか。
タイプ②不安型と、タイプ③恐れ・回避型は、愛着関係に問題があるから、家族との関係や接し方を改善するアプローチも効果的やで。
なるほど、家族との愛着を安定させることで、症状も落ち着いてくるんやね。
愛着障害について、もっと詳しく知りたい人は次の記事を見てや。
過敏さへの対処法～改善と克服～
じゃあ過敏さに対処するにはどうすればいいん？
いろんな方法が考えられるけど、ここでは４つ紹介するわ。
過敏さへの対処法
① ほどよく忙しくする
② 視点を切り替える【認知行動療法】
③ ありのまま受け入れる
④ 薬物療法・漢方薬
① ほどよく忙しくする
なにこれ？ なんか思ってたんと違う。笑
いや、【ほどよく忙しくする】のは手軽にすぐできる良い方法やから１番に紹介したで。これは、感覚過敏にも心理社会的過敏さにも効果あり。
過敏さの特徴
気になりだすと余計に敏感になり、苦痛が増してしまう
※特に、暇なときや静かな場所では、過敏さがさらに強くなる傾向がある
（例）静かな部屋では、普段は気にならない小さな音がやたらと耳に入ってきたり、些細な違和感がどんどん大きく感じられる
なぁ、この「過敏さ」って、なんで暇なときとか静かな場所で余計にひどくなるん？
たぶん、ヒマやと、いらんことを考えてしまうからやで。音も、普段やったら気にせんような小さい音まで気になってしまうし。
なるほどなぁ…。じゃあ、どうしたらええんやろ？
だから、ほどほどに忙しくしといた方がええねん。何かに集中しとったら、余計なこと気になりにくいやろ？
確かに。朝、頭が痛いと思ってても、お昼に気づいたら頭痛がなくなってるやつか。
そんなことある？笑
ほどほど忙しくして気にならない時間を増やしていくんやで。
② 過敏さから視点を切り替えるトレーニング【認知行動療法】
認知行動療法？
これは、心理社会的過敏さに効果があるで。同じ出来事が起きたときに、これまでとは違う捉え方をしようよってこと。
これまでと違う捉え方をする練習
◇例1：話しかけたら嫌な顔をされた
「私、何か悪いこと言っちゃったかな…？」と考えてしまいがち。
➡別の見方をしてみる。たとえば…
（Aさんはお腹が減ってイライラしていたのかも）
（そもそも聞こえていなかったのかも）
（たまたま他のことで嫌なことがあったのかも）
◇例2：友達からLINEの返信が来ない
「嫌われたんかな…？」と思いがち。
➡別の見方をしてみる。たとえば…
（忙しくて返信できないだけかも）
（返信内容を考えている途中かも）
（スマホを家に忘れてるかも）
◇例3：先生にきつく注意された
「私ってダメなんかな…」と落ち込みがち。
➡別の見方をしてみる。たとえば…
（先生も忙しくて余裕がないのかも）
（私を大事に思ってるから、ちゃんと伝えようとしたのかも）
過敏な人は、出来事そのものより「それをどう考えるか」で苦しむことが多いねん。だから、本人の考え方のクセをちょっとずつ変えていくのが大事やねん。
他人の反応に過敏な人は、ついつい「自分のせい」って考えちゃうけど「違う可能性もあるんちゃう？」って考えるんやね。
他人軸（他人の評価・基準）で自分の行動をしてるとしんどいから、それをちょっとずつ変えていくんやで。
自分の思いを大切にするってことやね。何か良い方法はある？
捉え方を変えるトレーニング
相手・第三者視点で見るトレーニング
❶起こった出来事の記録をとる
❷違う考え方をしてみる
あの人だったらどう考えるだろう？
❸自分の考え方の癖に気付く
❹考え方の癖を変えていく➡まわりと楽に関われるようになる
自分の物事の捉え方を変える。これが認知行動療法の考え方やで。
わかりやすく＆詳しく知りたい人は、次の本がオススメやで。
③ 過敏さをありのまま受け入れる
３つ目は、過敏さを無理に克服しようと苦しむんじゃなくて、そのまま受け入れようってことやね。
これはマインドフルネスとかＳＳＰ（Safe & Sound Protocol）っていう方法があるで。
マインドフルネス
瞑想をしながら、呼吸や身体感覚に注意を向け、それらをありのまま感じる
➡毎日３分間行うだけで、過敏さがやわらぐ効果がある
ＳＳＰ（Safe & Sound Protocol）
特殊加工した音楽を聴き、耳の調節機能を高め、改善する
➡聴覚過敏に有効
その人それぞれの過敏さに合わせて、良い方法を見つけていくって感じやね。
④ 薬物療法・漢方薬
最後に薬物療法・漢方薬を使う方法も紹介しとくで。
薬とか漢方薬が、過敏さをやわらげることもあるんや！？
うん。薬のアプローチはどんどん進歩してるねん。今でも、聴覚過敏や心理社会的過敏さに有効な薬はたくさんあるんやで。
そうなんやね。どうやって使うん？
薬を使うときは、本人に合った種類を適切な分量で使うことが大事やから、専門の先生に相談してな。
行動しよう（今の小さな変化が未来の大きな変化につながる）
勉強した後は行動することやで。今の小さな積み重ねが未来の大きな変化につながるんやで(^^)/
わかった！これからもまだまだ学んでいくぞー！
▼愛着障害については下の記事で詳しく解説しています▼
▼発達障害については下の記事でも詳しく解説しています▼
コメント