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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもにうまく対応するにはどうすればいい?
今回は、ASDがどんな障害かを押さえたうえで、どんな対応をすればいいのかを学んでいこか。
こんな方に読んでほしい
●ASDの子どもとの接し方がわからない
●視覚化などの取り組みはしているけれど、信頼関係を結べている気がしない
●ASDの子どもと接するのに苦手意識がある
今日の記事を理解すると、指示が通り、ASDの子どもと良い関係を結べるようになっていきます。
絶対にできるようになるからね!今回は2冊の本から学んできたよ♪
👆発達障害の特性を8個に分けて、それぞれを丁寧にわかりやすく解説してくれてる。自閉スペクトラム症がどんな障害なのかをもっと知りたい人はぜひ読んでみて。
👆ASDの子どもへの支援をわかりやすく書いているマンガ。内容も納得できるオススメの一冊。ASDの子どもへの指示の出し方に悩んでる人はぜひ読んでほしい。
▼声で聴きたい方は動画もあります▼
▼今回の内容を1枚にするとこんな感じ▼
※高画質な画像はX(旧ツイッター)にアップしています。https://x.com/manabu_syogai/status/1835856526831153650
自閉スペクトラム症(ASD)ってどんな障害?
まず押さえたいのは自閉スペクトラム症(ASD)の特徴とそのせいでどんな問題が起きるかっていうことやね。
ASDの特徴っていうと、こだわりがあるとか?
ASDの特徴は①空気が読めないこと【社会的コミュニケーション障害】、②こだわりやで。
自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準
【社会的コミュニケーション障害】+【2つ以上のこだわり症状】
なんとなくイメージはできるけど…
今回は少し詳しく、空気が読めないを3種類、こだわりを4種類にタイプ分けして整理するわ
3種類の 空気が読めない
空気が読めないことを社会的コミュニケーション障害ともいうんやね。これってどういうこと?
社会的コミュニケーション障害は、その場に合ったふさわしい会話をすることが苦手やったり、相手の気持ちを共有することができないことやねん。
空気が読めない(社会的コミュニケーション障害)の3種類
①相手の気持ちがわからない
②人と目を合わさない
③場にふさわしい行動や発言ができない
①相手の気持ちがわからない
空気が読めないの1つ目は相手の気持ちがわからない?
自閉スペクトラム症(ASD)の人は人の気持ちを察するのが苦手なんよ。だから、コミュニケーションがなかなかうまくいかない。
相手の気持ちが分からないことで起こる問題
●会話が一方的になってしまう
●友達や先生に話すタイミングがわからない
●一緒に遊ぶ友達がいない
ASDの子どもが問題行動を起こしたときに、「そんなことして相手はどう思う?」とか「相手のことを考えて」と言っても、子どもは「わからんわー!」と混乱しちゃうんよ。
②人と目を合わさない
空気が読めないの2つ目は人と目を合わさない?
自閉スペクトラム症(ASD)には、人と目を合わさないという特性があるんよ。
言われてみたら、確かにそうかも。
だから、直接子どもと話をすると、目線が合うかどうかでASDかがわかることがあるんよね。
表情から読み取れるASDのサイン
●アイコンタクトがとれない
●表情が固く乏しい
●声の大きさやイントネーションが不自然
③場にふさわしい行動や発言ができない
空気が読めないの3つ目は場にふさわしい行動や発言ができない?
自閉スペクトラム症(ASD)の特性で、その場の空気や雰囲気を察したり、相手の表情を読んで行動することが苦手っていうのがあるねん。
確かにその場の状況がわからないなら問題はでてきそうやなぁ。
その場にふさわしい発言・行動ができないことで出てくる問題
●場違いな発言や行動をしてしまう
●冗談や皮肉をまじめに受け取ってしまう
▼空気が読めないことについて詳しく知りたい方は次の記事へどうぞ▼
4種類の こだわり
自閉スペクトラム症(ASD)の人はこだわりが強いとも聞くけど、具体的にどういうこと?
【こだわり】とひとことで言っても4種類にタイプ分けできるねん
ASDの診断には、4つのうちの2種類以上のこだわりが必要になります。
具体的には下の4種類やね。
「こだわり」の4種類
①同じ行動や単純な動きをくり返す
②決まった行動・思考パターンにこだわる
③特定の対象への強い執着(○○マニア)
④感覚過敏
①同じ行動や単純な動きをくり返す
1つ目のこだわりは同じ行動や単純な動きをくり返すこと。子どもにとっては「やらずにはおれん!!」という状況です。
同じ行動や単純な動きってなに?
●何度もとびはねる
●くるくるまわり続ける
●頻繁に「あー」や「うー」など同じ声(お気に入りの声)を出す
●指の皮をむしる
●頭をぶつけ続ける
こんな行動をする子どもがいたら注意したらいいん?
自分や他人を傷つけたり、周りの迷惑になるような行動でなければ、ほっといたらいいで。この動きをしてれば本人は落ち着くことができるし。
②決まった行動・思考パターンにこだわる
2つ目のこだわりは、決まった行動パターン・思考パターンにこだわること。
➡1つめの「同じ行動や単純な動きを繰り返す」よりも複雑な一連の行動をくり返します。また、柔軟性のない考えや視点、融通が利かない思考も特徴的です。
決まった行動ってなに?
●必ず決まった時間に散歩をする
●細かい点まで決まった習慣を毎日繰り返す
●いつものお店で決まった席に座り、毎回同じメニューを注文する
●どんな状況でも丁寧すぎるあいさつをする
思考パターンへのこだわりってなに?
●自分の主義主張にとらわれ、他の考えを認めない
●自分の「こうあるべき・こうすべき」があり、他の人にも求める
こんな子どもは周りとトラブルになりやすいから注意が必要やね。
③特定の対象への強い執着(○○マニア)
3つ目のこだわりは、特定の対象への強い執着(○○マニア)です。
➡①や②のような「同じことを繰り返すこだわり」とは違い、自分の好きなことへの強い関心と細部へのこだわりが特徴的です。
どんな子どものこと?
●電車
●切手などのコレクター
●昆虫や岩石採集
●科学実験
●時計などの分解
こんなこだわりは大なり小なりみんな持ってるよね。
うん。だから日常生活に支障がなければ問題ないで。
問題があるとしたらどんなこと?
集中しすぎで寝食を忘れて体を壊すとか、周りとの人間関係がうまくいかんことがあるかな。
④感覚過敏
4つ目のこだわりは感覚過敏です。
➡発達障害の子どもの多くが持っているこだわり。五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)がとても敏感です。ストレスを感じることが多くなり、心身の不調が出やすくなります。
感覚過敏ってどういうこと?
●大きな音が苦手で泣いてしまう
➡避難訓練の非常ベルでパニックになることもある
●偏食
➡特定の食べ物ばかりを好んだり、絶対に食べられないものがある
●特定のにおいが好き/嫌い
➡特定のにおいをかぐだけで安心する
●触られるのが極端に苦手
➡すごく嫌がったり、落ち着かなくなる
※感覚過敏に対しては環境設定が有効です。音を軽減するためにイヤーマフをしたり、落ち着く色やにおいのアイテムを持ったり、いろいろな工夫ができます。
ただ、休養が多いと過敏さが増していくので、ほどよく忙しくさせるということも大切です。
▼こだわりについて詳しく知りたい方は次の記事へどうぞ▼
4種類の「こだわり」に共通する特徴
◎邪魔をされたり、想定外に弱い
➡邪魔や想定外に強いストレスを感じ、どうにも落ち着かない。「やらなければなりません」の状態になっている。
◎自分のこだわり以外には極端に無関心になる。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、「空気が読めないこと」と「こだわり」という特性によって、人と良好な関係を結ぶのが苦手です。
行動する~実践して子どもと良い信頼関係を結ぼう
よし!さっそくやってみるわ! って、なにからどうやって進めればいい?
実践するには、とにもかくにも準備が大切やで。
実践に向けた準備
どんな準備が必要なん?
それは、支援者の心構えの準備と配慮ポイントを押さえておくことやで。
良い信頼関係を結ぶためには、子どもとのこれまでの関係の結び方を壊す可能性もあります。そのため、最初は大変ですが、少しずつ良い信頼関係を結べるようになっていきます。
支援者の心構え
心構えやし、気持ちの面で準備しといたほうが良いことってこと?
1つ目は大人が思ってるよりも子どもは理解しているってことやね。
どんなに重い障害があったとしても、まわりの大人が思っているより、子どもは多くのことを理解をしている。だから、「伝わる」「伝える」をあきらめない。
うまくいかないように見えても、伝わるまで頑張ろうっちゅうことやね。
2つ目は、最初からはうまくいかないと覚悟すること
最初からうまくいくはずがないから、あきらめずに行動しようってことか。
自閉スペクトラム症は100人いれば100通りの個性、難しさがある。だから試行錯誤を繰り返して、その子に合う方法をつくっていくしかないんよね。
配慮のポイント
自閉スペクトラム症は子どもによって症状が全然違う。でも、配慮するポイントはあるんよね。
全員に100点の方法はないけど、これはしといたほうが良いよ、っていうことやね。
1つ目のポイントは、指示をわかりやすくするっていうこと。
そんなん当たり前じゃない?
意識してみると意外と長くしゃべってしまってるときがあると思うで。
指示をわかりやすくする
●指示の前後に余計な言葉がついていないかを意識する
●指示をイラストや文字にして視覚的にあらわす
●ワンワード ワンミーニング:同じ意味の単語は同じ単語を使う
例➡「先生が着席をした後に座ってください」ではなく「先生が座った後に座ってください」
●ワンセンテンス ワンメッセージ:ひとつの文章には一つの指示だけを入れる
2つ目のポイントは子どもの避難場所をつくっておくこと。
子どもが落ち着きがなくなったり、パニックになったときに逃げ込める場所をつくっておくってことか。
子どもの避難場所はどうつくる?
●子どもが暴れても壊すものや壊れるものがないスペース
●音などの刺激が少なくて、子どもが落ち着けるところ
(ぬいぐるみなどの好きなものがあっても良い)
よし、心構えもできたし、子どもの避難場所もなんとなく作れたよ♪
完璧な準備はないから、6割ぐらい準備ができたらさっそく行動していこう!
信頼関係を結ぶ~大人も子どもも楽になるシステムづくり~
実践するために何をすれば良いんでっしゃろ?
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもと良い信頼関係を結ぶには、大人も子どもも楽になるシステムをつくることが重要やで。
へ?
ASDの子どもに指示が通らないのは、子どもが混乱をしてるときか、わがままがストレートに出てるときが多い。だから子どもに自分の意見を主張する方法を学んでもらうことが大切やねん。
大人も言う/言わないのバランスが難しいんやってな。
そうやねん。だから、大人も子どももわかりやすいシステムをつくってしまおうってことや!
大人も子どもも楽になるシステムをつくるポイント
◇大人が主導権をとる
◇ほめる順番を意識する
大人が主導権をとる
大人も子どもも楽になるシステムをつくるポイントの1つめは大人が主導権をとることです。
大人に主導権があるってどんな状況?
子どもが安心して大人の言うことをきけるっていう状況やで
NG:子どもに主導権がある状況
じゃあ、子どもに主導権があるってどんな状況?
子どもと大人の主張がぶつかったとき、たとえ子どもの行動が間違ってたとしても、子どもの主張が通っちゃうことやで。
間違った行動っていうと、ぐずったり、暴れたり、パニックになるってことかな。
子どもがぐずったり、暴れたり、パニックになることで子どもの主張や意見が通る。
➡子どもは、「ぐずれば夢がかなうんだ」と学習してしまう。
子どもが主導権を持っている状況の具体例は?
◇大人は「テレビを見せたくない」けど、子どもは「テレビを見たい」とき。
➡子どもはぐずる・暴れる ➡大人は仕方なしにテレビを見せてしまう
システムづくりの最初の難関
子どもがぐずっても、暴れても、パニックになっても、子どもの行動が間違っているときは子どもの主張を通さないことです。
最初はかなり大変やけど、2回目、3回目とお互い楽になっていくから、踏ん張るんやで!!
子どもが安心して大人の言うことをきける状況をつくる
大人が主導権をとるにはどうすればいいの?
子どもが安心して大人の言うことをきける状況をつくることが大切やねん。
大人が主導権を取り戻す方法とは?
◇大人は「テレビを見せたくない」けど、子どもは「テレビを見たい」とき。
大人「トランポリンでジャンプしたらテレビを見てもいいよ」➡子どもはぐずる・暴れる。でも、いくら暴れてもぐずってもテレビは見せない(最初は子どもと15分の格闘)➡トランポリンが飛べたらTVを見せる。
※最初は15分かかりますが、2回目は5分、3回目は3分とどんどん短くなっていきます。
トランポリンじゃなくてもいいんやけど、大人が言ってることをしたら自分の夢がかなうって子どもが実感するのが大事やな。
夢がかなうってどういうこと?
この大人の言うことを聞いたらなんか良いことあるなぁって子どもが感じるってこと。
ぐずる、あばれる、パニックになることは子どもにとってもかなり疲れる行動です。だから、子どもが疲れる行動をしなくても、大人の言うことを聞くと子どもの希望が叶うシステムを実感していくと、子どもは安心して大人の言うことがきけるようになります。
ちょこっと質問:自閉スペクトラム症の子どもに強く言ってもいいの?
ASDの子どもと15分格闘したり、強く言ったりして大丈夫なん?
強く言っても大丈夫やで。暴れたり、パニックは起きて当たり前ぐらいに思っとけばいいよ。ただし、暴れてもパニックになっても何をしても子どもの主張は通さない。笑
子どもがパニックになったときの注意点
①まわりに壊れそうなものがないか周りの安全を確認する
②パニックが起きているときは大人は黙って見守る(でも、子どもの希望は通さない)
自閉スペクトラム症の子どもは自己主張が苦手な子が多い。パニックは自分の意見を伝える手段のひとつなだけやねん。だから、パニックが起きても、子どもが自分の意思を表現しているだけと少し遠くから眺めてみたらいいよ。
パニックっていう自己表現をしてるだけやから、そんなに気にせんでもいいんやねぇ
ほめる順番を意識する
大人も子どもも楽になるシステムをつくるポイントの2つめはほめる順番を意識することです。
ん? 順番が大事なの?
うん。さっきも言ったけど、大人も子どもも楽になるシステムをつくるには子どもが安心して大人の言うことをきける状況が重要やねん。だからほめるだけやったら不十分。
じゃあどんな順番でほめればいいん?
子どもが行動をする前に、大人がお手伝いや仕事をお願いするっていう前段階が大切になってくるねん
ほめる順番
大人のお願い(主張)を子どもの行動の前に入れることが大切
◎大人:子どもができそうなお手伝いや仕事をお願いする➡子ども:できた! ➡大人:ほめる
順番を意識して何回もほめることで、子どもが(この人の言うことを聞くとほめてもらえるし、損はないわね (・∀・)ニヤッ )ぐらいに思ってくれると、「大人も子どもも楽になるシステム」がぐっと近くなるで。
自閉スペクトラム症の子どもが目指すゴール
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの支援ってどんなところを目標にしていけばいい?
子どもにもよるんやけど、ASDの子どもが目指すゴールの1つは、「物」と「音」と「文字」を結びつけることやで。
物と音と文字を結びつける?
例えば、下のイラストを見て。
このイラストと音の「リ・ン・ゴ」と文字の「りんご」が一緒のものとして理解できるってことやねん。
目の前の物と音と文字が同じものやとわかるってことか。
理解できるようになったら、将来、収入を得られる可能性が高くなるんやで。
おわりに
今回勉強したことを活かして、なにかやってみるよ!
できるところから少しずつやっていくのが大事やで。
最初は失敗するんが当たり前。でもあきらめずに継続していくのが大事なんやね。
試行錯誤をしてたら、気付けば良い信頼関係を結べるようになってるはずやで。
うまくいくときもいかないときもある。でも進んでいれば少しずつでも良くなっていくんやね。
今起こす小さな変化が、より良い大きな未来につながってるんやで。
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