【支援に使える知能検査】WISC-Ⅴ・KABC-Ⅱで見る子どもの発達と得意の伸ばし方

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。

このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。

はてな君
はてな君

知能検査って受けた方がいいの?

まなぶ君
まなぶ君

知能検査を受けて、その子の発達のでこぼこがわかると、支援に活かして得意を伸ばすこともできるんやで。

はてな君
はてな君

発達のでこぼこ?

まなぶ君
まなぶ君

知能検査では、IQ(知能指数)以外にもいろんなことがわかるんやで。今回も一緒に勉強していこか。

こんな方に読んでほしい
●知能検査の結果の活かし方を知りたい
●子どもが知能検査を受けるか迷っている
●最新のウィスク5の概要を知りたい

今回の記事を理解すると、子どもの発達凸凹に合った支援ができるようになります。

まなぶ君
まなぶ君

絶対にできるようになるからね!今回は下の本で学んだよ♪

まなぶ君
まなぶ君

「知能検査ってなんか難しそう」と思ってる人向け。イラストがいっぱいで、めっちゃわかりやすかったで。学びのスタートにぴったりの一冊。迷ったらまずはコレ!

▼動画もぜひ見てください!

▼勉強ノート(内容を1枚にまとめたで)

なぜ知能検査をするのか?

はてな君
はてな君

なんで知能検査をするん?

まなぶ君
まなぶ君

その子の得意・苦手を知って支援につなげるために知能検査をするんやで。

なぜ知能検査をするのか?
 その子の得意・苦手を知って、「何でつまずいているか?」「どこに苦労しているか?」「どうすれば進んで生活や学習・行動に取り組めるか?」を考えるため

まなぶ君
まなぶ君

知能検査は知的障害・発達障害の診断にも使われることが多いで。検査と障害との関係について知りたい人は次の記事を見てや。

漢字の覚え方は人によって違う

はてな君
はてな君

「知能検査はその子の得意・苦手を知るため」っていうけど、子どもによって得意・苦手ってそんなに違うの?

まなぶ君
まなぶ君

うん。全然違うで。漢字の覚え方を例にして考えてみよか。例えば、はてな君はどうやって漢字を覚えてきた?

はてな君
はてな君

僕は赤シートで漢字を隠しながら読んでいくと覚えやすかったかな。なんで?

まなぶ君
まなぶ君

漢字の覚え方ひとつでも、その子の得意・苦手な方法っていうのがあるんやで。

漢字ドリルをする

はてな君
はてな君

小学校とかでは漢字ドリルがよく使われるよね。

まなぶ君
まなぶ君

漢字ドリルは手先が器用な子どもは覚えやすいけど、不器用な子どもにとっては苦痛やねん。

漢字ドリルで覚える
◎手先が器用な子ども
✖手先が不器用な子ども

まなぶ君
まなぶ君

発達障害の子どもは手先が不器用なことも多いから、ドリルだけに頼るのは良くないね。

赤シートで隠して覚える

はてな君
はてな君

中学生とか高校生になると、漢字だけじゃなくて英単語とか歴史の用語とかも赤シートで隠して覚えるよね。

まなぶ君
まなぶ君

赤シートは、漢字を見て形をとらえられる子どもにとっては良いけど、見る力が弱いとなかなか覚えられないんよね。

赤シートで隠して覚える
◎目で見て形をとらえられる子ども
✖形を捉えるのが苦手な子ども
✖見る力が弱い子ども

声に出して覚える

まなぶ君
まなぶ君

声に出して漢字を覚えるのが得意な子どももおるね。

はてな君
はてな君

そういえば、僕も声に出しながら漢字練習をしてたわ。

まなぶ君
まなぶ君

単に声を出すだけじゃなくて、絵かき歌で漢字を覚える【ミチムラ式漢字学習法】っていうのもあるで。

はてな君
はてな君

ミチムラ式漢字学習法?

まなぶ君
まなぶ君

視覚障害のある子どもが漢字を学習するために考えられた方法やで。パーツごとに唱えて覚えるんよ。「空」は「ウルエー」みたいに。

はてな君
はてな君

なるほど。「空」っていう漢字を分解すると、カタカナの「ウ」と「ル」と「エ」みたいやね。

まなぶ君
まなぶ君

今では視覚障害者だけでなく、読み書きの苦手な子どもたちが漢字を覚えるときの救世主にもなってるで。

はてな君
はてな君

声を出すのが好きで、聞いて覚えるのが得意な子どもやったら効果がありそう!

まなぶ君
まなぶ君

ただ、声を出したり、聞く力が弱い子どもにとっては苦痛なんよね。

声に出して覚える
◎声を出すのが好きな子ども
◎聞いて覚えるのが得意な子ども
✖声を出すのが苦手な子ども
✖聞く力が弱い子ども
✖音に過敏(うるさいのが苦手)な子ども

どうやって漢字を覚えさせる?

はてな君
はてな君

漢字ひとつ見ても、覚え方っていろいろあるんやね。目の前の子どもに、どの覚え方が合ってるかは、どう判断すればいいの?

まなぶ君
まなぶ君

一番良いのは、大人が、いろんな覚え方を子どもに経験させることやね。そして、子ども自身が「自分に合った方法」を試行錯誤しながら、身に付けていくんや。

はてな君
はてな君

子どもが自分で「自分に合った方法」を身に付けていく。言葉では簡単やけど、実際にするとなると、かなり難しそう。時間もかかるやろうし…。

まなぶ君
まなぶ君

そうなんよ。だから、知能検査がオススメ。知能検査をすれば、子どもの得意・苦手を手っ取り早く知ることができるし、他の大人たちとも共有できるんよ。

はてな君
はてな君

得意・苦手を知れたら、その子に合った支援方法を考えていくことができるんやね。

IQの数値で一喜一憂しない

まなぶ君
まなぶ君

IQ(知能指数)の数値だけを見て喜んだり、落ち込んだり、悲しんだりする人がおるんやけど、やめといた方がいいで。

はてな君
はてな君

なんで? IQが120やったら喜ぶし、IQ80やったら落ち込みそうやけど。

IQの平均は100
 たいていの人はIQが100前後になるようにつくられています。

まなぶ君
まなぶ君

IQはひとつの目安になるだけ。支援するときに大事なのは数値よりも中身やで。

IQとはなにか?

まなぶ君
まなぶ君

そもそも、IQって何かわかる?

はてな君
はてな君

IQが高い人は、頭が良くてなんでもできるっていうイメージ。

まなぶ君
まなぶ君

マンガやったら、IQが高いとなんでもできるスーパー超人みたいに描かれるけど、そんなことはない。

いろんな力をまとめて数字にしたもの
まなぶ君
まなぶ君

IQは、他の人と比べて記憶力とか情報処理能力とか、知能に関係しそうないろんな力をまとめて1つの数字にしたものなんよ。 

IQ(知能指数)とは?
 頭の中にあるいろんな力(記憶力・情報処理能力・知識・読み書きなど)をまとめて1つの数字にしたもの

まなぶ君
まなぶ君

だから、IQでわかることは全体的な傾向だけ。具体的な支援を考えるときには、数値よりもその中身が大事やねん。

はてな君
はてな君

うーん、いまいちピンとこない…。

まなぶ君
まなぶ君

例えば、野球で考えてみよか。

野球の例でIQのイメージをつかもう
 野球の力を「打つ力」「投げる力」「走る力」に分けて、それらをまとめて「野球力」と呼ぶことにする
Aさん:打つ・投げる・走る、どれもバランスよく100ずつ
Bさん:打つ力が300で、他はゼロ
Cさん:走る力が300で、あとはゼロ
➡野球力は3人とも「300」。でも中身は全然違う

まなぶ君
まなぶ君

同じ数値でも中身が全然違うよね。得意なこと・苦手なことが違えば、必要な練習やサポートも変わってくる。

はてな君
はてな君

バッティングが苦手な子には打つ練習を多めに、走るのが得意な子にはそれを活かせる場面を増やすとか、個人に合わせた関わりが必要やね。

まなぶ君
まなぶ君

IQも同じやねん。IQの数値だけじゃ、その人が「どこが得意で、どこが苦手か」は、わからない。

はてな君
はてな君

だから、支援や関わりを考えるときには、数字の高さ・低さよりも“中身”をしっかり知ることが大事なんやね。

IQの数値には幅がある
まなぶ君
まなぶ君

しかも、IQの数値には幅がある。検査を受ける子どもの状態によって数値が変わるんよね

IQの数値は子どもの状態によって変わる
例えば、知能検査の結果では、
【IQ90(90%信頼区間85~95)】と書かれている。
これは【同じ試験をすると90%の確率でIQ85~95になる】という意味。
➡IQは絶対的な数値ではなく、かなり変動するという前提でみる必要がある。

はてな君
はてな君

野球でもコンディションによって、力を発揮できる日と発揮できない日があるもんね。

まなぶ君
まなぶ君

だから、IQの数値だけで一喜一憂しないのが大事やね。

知能検査の良いところ

はてな君
はてな君

知能検査はどんな風に活用することができるん?

まなぶ君
まなぶ君

知能検査の良いところは主に2つあるで。

知能検査の良いところ
❶結果を支援者みんなで共有できる
❷長所をいかした支援ができる

はてな君
はてな君

❶は得意と不得意が数値で出てくるから、支援者みんなで共有できるってことやね。

まなぶ君
まなぶ君

子ども支援は、家庭・学校・医療機関などがチームになる必要がある。そのときに、支援の情報・目的・方法を共有しやすくなるんよね。

はてな君
はてな君

❷については、その子の苦手と得意がわかるから、「長所をいかした支援」ができるんやね。

まなぶ君
まなぶ君

うん。例えば、漢字の学習方法を迷ったときに、知能検査の結果が参考になるんやで。

知能検査の結果を支援に活かす

はてな君
はてな君

知能検査の結果をどうやって支援に活かしていけばいいん?

まなぶ君
まなぶ君

まずは、一般的によく行われる知能検査であるウィスクの最新版、ウィスク5(WISC-Ⅴ:ウィスク・ファイブ)について説明していくで。

ウィスク5の概要
●対象年齢:5歳~16歳11ヵ月
●検査時間は1時間程度
 ※子ども相手だと90分以上かかる
●出てくる数値
 ①FSIQ:全体的な知能のレベル
 ②5つの能力:領域ごとの知的能力

まなぶ君
まなぶ君

ただし、言葉や文字での意思疎通ができない場合は違う検査の方がオススメ。あと、16歳以上で受けたい場合は、ウェイス(WAIS)っていう知能検査があるで。

ウィスク5でわかる5つの能力

まなぶ君
まなぶ君

ウィスク5(WISC-V)の特徴は、IQ以外にも、5つの知的能力がそれぞれ数値で出ることやで。これで、子どもの得意と苦手がわかるねん。

ウィスク5でわかる5つの能力
言語理解(言葉の力)
 言葉の理解力、やり取りする力
視空間(見る力)
 どこに何があるかイメージ・理解する力
流動性推理(見る力)
 その場の状況を判断して対応する力
ワーキングメモリ(短期記憶)
 見た・聞いたことを少しの間覚える力
処理速度(見て単純作業をする力)
 見たものを書き写すなどの単純作業を、素早く正確に行う力
 見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力

はてな君
はてな君

もうちょっとわかりやすく教えてー!

①言語理解(言葉の力)

ウィスク5でわかる5つの能力
➡①言語理解(言葉の力)
 言葉の理解力、やり取りする力
②視空間(見る力)
③流動性推理(見る力)
④ワーキングメモリ(短期記憶)
⑤処理速度(見て単純作業をする力)

はてな君
はてな君

言語理解は言葉の力?

まなぶ君
まなぶ君

うん。言葉を理解する力とか、言葉でやり取りする力のことやで。

はてな君
はてな君

この力が高い・低いとどうなるん?

この能力(言語理解)が…
◎高い場合
 言葉の指示が通りやすい
●低い場合
 言葉だけのやり取りでは理解できない

はてな君
はてな君

言語理解が高い子どもは、言葉だけでやり取りができるんやね。低い子どもにはどうすればいいん?

まなぶ君
まなぶ君

言語理解が低い場合は、視覚化を意識して支援したら良いで。

言語理解が低い➡視覚化が有効
 目で見て指示がわかるように、図・写真・絵を使うことで、子どもの困り感を減らすことができる。

②視空間(見る力)

ウィスク5でわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
➡②視空間(見る力)
 どこに何があるかイメージ・理解する力
③流動性推理(見る力)
④ワーキングメモリ(短期記憶)
⑤処理速度(見て単純作業をする力)

はてな君
はてな君

視空間は見ることに関係する力?

まなぶ君
まなぶ君

うん。どこに何があるかイメージしたり、理解する力やで。

はてな君
はてな君

この力が高い・低いとどうなるん?

この能力(視空間)が…
◎高い場合
・工作・スポーツで見本通りにできる
・一部を見て全体を理解できる
 ➡黒板や教科書を理解する力も高い
●低い場合
 見本通りにできない、片づけが苦手、忘れ物が多い、全体が見えない

はてな君
はてな君

視空間が高い場合は、見本を見せるのが効果的ってことやね。低い子どもにはどうすればいいん?

まなぶ君
まなぶ君

低い場合は、他の能力を見て、その子が理解しやすい方法を考えるんやで。

はてな君
はてな君

他の能力?

まなぶ君
まなぶ君

例えば、①の言語理解が高いなら、工作やスポーツをするときでも、文字とか言葉にして伝えるのが有効なんやね。

はてな君
はてな君

見本以外にも、いろんなアプローチの方法があるってことやね。

まなぶ君
まなぶ君

ちなみに視空間の力は鍛えることができるで。

視空間は鍛えることができる
・パズルや積み木
・オセロなどのボードゲーム
・授業でノートを取る

まなぶ君
まなぶ君

視空間が低いことで起きる問題について知りたい人は、次の記事を見てや。

③流動性推理(見る力)

ウィスク5でわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
②視空間(見る力)

➡③流動性推理(見る力)
 その場の状況を判断して対応する力
④ワーキングメモリ(短期記憶)
⑤処理速度(見て単純作業をする力)

はてな君
はてな君

流動性推理も見ることに関係する力?

まなぶ君
まなぶ君

うん。その場の状況を判断して対応する力やで。

はてな君
はてな君

この力が高い・低いとどうなるん?

この能力(流動性推理)が…
◎高い場合
・初めての場所でも対応できる
・指示内容を予測して動くことができる
●低い場合
・その場で何をしたらよいか分からない
 ➡落ち着きがなく、他のことをする

はてな君
はてな君

流動性推理が高い場合は、細かく指示をしなくても、予想をして勝手に動いてくれるんやね。低い場合はどうすればいい?

まなぶ君
まなぶ君

この力が弱い子どもには見通しを持たせることが大切やで。

流動性推理が低い➡見通しを持たせる
 予定や行動をあらかじめ図や写真で示す
※安心して取り組むことができる

④ワーキングメモリ(短期記憶)

ウィスク5でわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
②視空間(見る力)
③流動性推理(見る力)

➡④ワーキングメモリ(短期記憶)
 見た・聞いたことを少しの間覚える力
⑤処理速度(見て単純作業をする力)

はてな君
はてな君

ワーキングメモリは短期記憶の力?

まなぶ君
まなぶ君

見たこと・聞いたことを少しの間、覚える力やで。

はてな君
はてな君

反対は長期記憶?

まなぶ君
まなぶ君

自宅の住所とか自転車の乗り方なんかは長期記憶って言われるね。

はてな君
はてな君

ワーキングメモリが高い・低いとどうなるん?

この能力(ワーキングメモリ)が…
◎高い場合
 指示されたことを覚えて、すぐに活動・作業に取り組むことができる
●低い場合
 指示を覚えられない
※10秒ほどで忘れ、説明の後に動けない

はてな君
はてな君

ワーキングメモリが高い場合は、長い説明をしても通じるんやね。低い場合はどうすればいいん?

ワーキングメモリが低い指示を文字や図で示すことが有効

まなぶ君
まなぶ君

メモやタブレットを持たせて、本人が自分で記録していく練習もオススメやで。

⑤処理速度(見て単純作業をする力)

ウィスク5でわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
②視空間(見る力)
③流動性推理(見る力)
④ワーキングメモリ(短期記憶)

➡⑤処理速度(見て単純作業をする力)
 見たものを書き写すなどの単純作業を、素早く正確に行う力
 見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力

はてな君
はてな君

処理速度は見て単純作業をする力?

まなぶ君
まなぶ君

見たものを書き写すなどの単純作業をすばやく正確にしたり、見たものを正確にとらえて素早く処理する力やで。

はてな君
はてな君

この力が高い・低いとどうなるん?

この能力(処理速度)が…
◎高い場合
・間違い探しが得意
・テキパキと場に応じた作業ができる
●低い場合
 作業のスピードが遅い
 ➡焦ってミスが増える

はてな君
はてな君

処理速度が高い場合は、作業をどんどん進めていくことができるんやね。低い場合はどうすればいいん?

処理速度が低い➡時間を作業で区切る
 「時間をかけてもいいよ」と安心できる声掛けも有効

まなぶ君
まなぶ君

「これが終わったら次にこれをするよ」ではなくて、「○○分になったら、次にこれをするよ」って伝えるんやで。

はてな君
はてな君

ひとつひとつ確認をした後で、全体の表を見るとわかりやすくなるね。

ウィスク5でわかる能力(おさらい)
言語理解(言葉の力)
 言葉の理解力、やり取りする力
視空間(見る力)
 どこに何があるかイメージしたり理解する力
流動性推理(見る力)
 その場の状況を判断して対応する力
ワーキングメモリ(短期記憶)
 見た・聞いたことを少しの間覚える力
処理速度(見て単純作業をする力)
 見たものを書き写すなどの単純作業を素早く正確に行う力
 見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力

【補足】ウィスク4とウィスク5の違い

まなぶ君
まなぶ君

ウィスク5が最新やねんけど、以前のWISC-Ⅳ(ウィスク・フォー)と比べて、どんなことが変わったか確認しとこ。

はてな君
はてな君

ウィスク4を知らない人は読み飛ばしても良いところやね。

まなぶ君
まなぶ君

うん。主な変更点は2つ。

ウィスク4からの主な変更点
①ウィスク4では、「知覚推理(知覚統合)」の能力を測っていた
➡ウィスク5では、「視空間」と「流動性推理」に分けて測るようになった
②ウィスク4では、「ワーキングメモリ」は聞いた情報の短期記憶だった
➡ウィスク5では、聞いた情報に加えて、見た情報の短期記憶も測れるようになった

はてな君
はてな君

子どもの得意と苦手を、より詳しく測れるようになったんやね♪

まなぶ君
まなぶ君

ただし、ウィスク4でも得意と苦手の傾向がわかるから大丈夫。だから「ウィスク4しか受けたことない!」と焦って、ウィスク5を受ける必要はないで。

KABC-Ⅱの2つの柱:学ぶ力と学んだこと

まなぶ君
まなぶ君

KABC-Ⅱ(ケイエービーシー・ツー)は、認知検査」と「習得検査」に分かれてるのが特徴的やで。

はてな君
はてな君

認知検査と習得検査? なにそれ?

まなぶ君
まなぶ君

認知検査は学ぶ力を測る。そして、習得検査は学んだことを測るのが目的やねん。

KABC-Ⅱの2つの柱
①認知検査(学ぶ力を測る)
 「考える力」「問題を解く力」など、学ぶための土台になる力を調べる
②習得検査(学んだことを測る)
 学校で習う知識や技能(読み書き・計算など)が、どれだけ身についているかを調べる

はてな君
はてな君

なんとなくわかるような気がするけど…。もっと詳しく教えて!

①認知検査で測る能力

はてな君
はてな君

1つ目の認知検査ってなに?

KABC-Ⅱの2つの柱
①認知検査(学ぶ力を測る)
 「考える力」「問題を解く力」など、学ぶための土台になる力を調べる
②習得検査(学んだことを測る)
 学校で習う知識や技能(読み書き・計算など)が、どれだけ身についているかを調べる

まなぶ君
まなぶ君

学ぶための土台になる力、つまり、「どんなふうに物事を理解したり、覚えたり、問題を解いたりできるか」っていう地頭の部分を測ることができるねん。

はてな君
はてな君

もともと持ってるその子の得意・苦手がわかるってことか。

まなぶ君
まなぶ君

具体的には、次の4つの力を測ることができるんやで。

KABC-Ⅱの認知検査で測る4つの力
❶継次処理(けいじしょり)
 耳からの情報を、順番通りに覚えて再生する力
(例)数字や言葉を聞いて、その順番どおりに言い直す
❷同時処理(どうじしょり)
 目からの情報を、全体として理解・整理する力
(例)パズルを組み立てる、一部を見て全体を想像する
❸計画尺度(けいかくしゃくど)
 見通しを持って計画を立てる力
(例)ルールを考えながら正解を導くようなパズル
❹学習尺度
 短期的に学んだことを記憶・保持する力
(例)新しい言葉を聞いて、後で覚えているかどうか

はてな君
はてな君

ウィスク5の5つの能力と似てるね。

まなぶ君
まなぶ君

うん。ただ、ウィスクとは少し違う側面から知能を測るイメージやな。

継次処理と同時処理のどちらが優位か?
まなぶ君
まなぶ君

❶継次処理と❷同時処理がわかると、その子の得意な方法がわかるで。

はてな君
はてな君

人によって得意な覚え方があるってこと?

まなぶ君
まなぶ君

うん。道案内を例にして考えてみよか。

道案内をされるとき、どっちがわかる?
◎順番通りに説明される方が理解しやすい
 ➡継次処理が得意
◎地図で説明される方が理解しやすい
 ➡同時処理が得意

はてな君
はてな君

ちょっと漢字が多いな…。

❶継次処理 優位タイプ
まなぶ君
まなぶ君

目的地までの道順を、順番に説明された方が理解しやすい人は継次処理が得意なタイプやで。

はてな君
はてな君

順番に説明?

❶継次処理 優位タイプ
1.出口を左折します
2.次の交差点を右折します
3.右側の2件目が目的地の花屋です
※順番に説明されると理解しやすい

まなぶ君
まなぶ君

このタイプに説明をするときには、箇条書きのメモが有効やで。

❷同時処理 優位タイプ
まなぶ君
まなぶ君

目的地までの道順を、地図で説明された方が理解しやすい人は同時処理が得意なタイプやで。

❷同時処理 優位タイプ
 地図を見てください。ここが「駅の出口」で、ここに目的の「花屋」があります。
※視覚的に全体をイメージできると理解しやすい

まなぶ君
まなぶ君

だから、このタイプに説明するときは、図や写真が有効やで。

はてな君
はてな君

なるほど。ちなみに、同時処理は、なんで「同時」っていうの?

まなぶ君
まなぶ君

継次処理が「順番に処理するのが得意」なのに対して、同時処理は「全体をまとめて一度に理解するのが得意」なんよね。

はてな君
はてな君

つまり、いろんな情報を同時に処理してるから「同時処理」っていうんか。

②習得検査で測る能力

はてな君
はてな君

2つ目の、習得検査ってなに?

KABC-Ⅱの2つの柱
①認知検査(学ぶ力を測る)
 「考える力」「問題を解く力」など、学ぶための土台になる力を調べる

②習得検査(学んだことを測る)
 学校で習う知識や技能(読み書き・計算など)が、どれだけ身についているかを調べる

まなぶ君
まなぶ君

習得検査は「学習の成果(読み書き・計算などの知識やスキル)」を測るねん。つまり「学校や生活の中で、どんなことをどれだけ身につけてきたか?」を見るんやで。

はてな君
はてな君

勉強したことがどれだけ定着してるかを見るんか。地頭が良くても、勉強してなかったら、テストの点数は悪くなるもんね。

まなぶ君
まなぶ君

だから、習得検査は、基本的には「学校で習うようなこと」が中心やで。

KABC-Ⅱの習得検査で測る4つの力
❶語彙(ごい:ボキャブラリー)
 言葉をどれだけ知っているか?
❷読み
 ひらがな・カタカナ・漢字は読めるか?
 文章の理解ができるか?
❸書き
 ひらがな・カタカナ・漢字は書けるか?
 文章の構成を考えて書けるか?
❹算数
 計算問題がとけるか?
 文章題がとけるか?

はてな君
はてな君

知識や読み書き計算の実力を測るってわけやね。

認知検査と習得検査を分けるメリット

はてな君
はてな君

認知検査と習得検査を分けることで良いことはあるん?

まなぶ君
まなぶ君

支援の方法が変わってくるで。

例)読み書きが苦手な子どもへの支援
認知が高い×習得が低い ➡ 学ぶ力はあるけど、教え方や経験に課題があるかも?
認知が低い×習得も低い ➡ 学ぶための土台に困り感がある。得意な方法はなに?

はてな君
はてな君

どこに苦手の原因があるかを調べれるから、適切な支援を考えやすいんやね。

クロスバッテリーアプローチ

まなぶ君
まなぶ君

基本的に、複数の知能検査の結果は比較することはできないねん。

はてな君
はてな君

え?そうなんや! なんで?

まなぶ君
まなぶ君

だって、それぞれの知能検査のもとにある理論も目的も違うもん。でも、KABC-Ⅱとウィスクは、もとにある理論が同じやねん。

はてな君
はてな君

へー。つまり、どういうこと?

まなぶ君
まなぶ君

KABC-Ⅱとウィスクの2つを組み合わせるとより詳しく知能を測ることができる。これをクロスバッテリーアプローチっていうねん。

クロスバッテリーアプローチ
 KABC-Ⅱとウィスクを両方受けると、子どもの得意・苦手をより詳しく知ることができる

はてな君
はてな君

2つの検査をクロスする(組み合わせる)と、より詳しい結果がわかるってことか!

その他の知能検査

まなぶ君
まなぶ君

最後に、WISC以外の検査について、概要とポイントをさらっと押さえておこう。

はてな君
はてな君

WISCとKABC-Ⅱ以外にも知能検査があるんやね。

まなぶ君
まなぶ君

めっちゃたくさんあるけど、ここでは有名どころを2つ紹介しとくで。

その他の知能検査
●田中ビネー知能検査Ⅴ
●新版K式発達検査

田中ビネー知能検査Ⅴ

まなぶ君
まなぶ君

ウィスクやKABC-Ⅱと比べて田中ビネー知能検査が特徴的なのは、結果で出るのはIQの数値だけってことやで。

はてな君
はてな君

どんなときにこの検査を受けるん?

まなぶ君
まなぶ君

田中ビネー知能検査は、知的障害の診断とか障害者手帳を出してもらうときに使われることが多いで。

はてな君
はてな君

IQがぱっと出てくれるとわかりやすいね。(^^)/

まなぶ君
まなぶ君

わかりやすいからこそ注意も必要やで。数値の高い/低いだけで一喜一憂せずに、今後の対応や支援を考えるのが大切。検査時の子どもの様子も教えてくれるから、そっちにも注目してや。

新版K式発達検査

はてな君
はてな君

もうひとつの新版K式発達検査っていうのはどんなんなん?

まなぶ君
まなぶ君

新版K式は、発達を3つの領域に分けて測ることができるねん。

新版K式発達検査でわかる3つの領域
①姿勢・運動 の発達
②認知・適応 の発達
③言語・社会 の発達

はてな君
はてな君

姿勢とか運動も発達障害を疑うときに大事って聞いたことある!

まなぶ君
まなぶ君

あと、日本でつくられた検査っていうのも特徴的やで。他の知能検査・発達検査の多くが海外発で、日本の子どもたちに合わない面もあるんよね。

はてな君
はてな君

日本でつくられたから、日本人の子どもにより合ってる検査ってことか。

まなぶ君
まなぶ君

新版K式は発達の特徴を測ることができるから、その後の子育てや支援につなげやすいんやで。

【注意】違う検査の数字を比べちゃダメ

まなぶ君
まなぶ君

いくつかの検査を受けたときにやりがちやけど、違う知能検査の数値を比べることはできないで。

はてな君
はてな君

前に受けた新版K式では54やったけど、今回受けた田中ビネーでは65やった。子どもが成長したー!! って単純に思わないってことやね。

まなぶ君
まなぶ君

うん。違う検査の数字だけを比べることはできない。これは覚えといてや。

行動しよう(今の小さな変化が未来の大きな変化につながる)

まなぶ君
まなぶ君

学んだ後は行動することやで。対応方法とか指示の出し方とか支援の仕方で、ちょっとでも「やってみよう!」と思えることがあったなら行動すること! 今の小さな積み重ねが大きな変化を生み出して、より良い未来につながるんやで(^^)/

はてな君
はてな君

わかった!これからも学んで行動していくぞー!

コメント

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