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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
行動障害の子どもってどんな子どもなん?
壁や床を頭突きしたり、大声を出したりする行動が抑えきれない子どもやで。今回は、行動障害とその支援方法について学んでいこか。
こんな方に読んでほしい
●学校や事業所で、行動障害の子どもへの対応に困っている
●行動障害について知りたい
●自閉症や多動傾向の子どもと関わっている
今回の記事を理解し実践すると、行動障害の子ども支援・対応の方向性がわかります。
絶対にできるようになるからね!今日は下の本で学んだよ♪
👆すぐに使える支援のアイデアがたくさん書かれてるで。具体的でめっちゃわかりやすいから、「支援や対応どうしよう?」と迷ってる人にオススメ!
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▼今回の内容を1枚にするとこんな感じ▼
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https://x.com/manabu_syogai/status/1861210410080444445
強度行動障害の定義と支援のポイント
強度行動障害(きょうどこうどうしょうがい)?
強度行動障害の人と接したことがないなら、下の動画の最初の3分ぐらい見てくれればどんな障害かイメージできると思うわ。子どもでもこんな感じやで。
強度行動障害とは何か?
障害のイメージはできたけど…。つまり、どういう障害なん?
強度行動障害とは
●指導上の困難がある(自傷・他害・こだわりが強いなど)
●家庭で改善の努力をしても困難が続いている
●精神的な診断ではない:医学的な診断名ではなく、行政・福祉的な支援を行う判断基準
参考:行動障害児(者)研究会(1989)「 強度行動障害児(者)の行動改善および処遇のあり方に関する研究」財団法人キリン記念財団
自傷とか他害ってことは、自分や他の人を傷つけてしまうってことやね。
具体的な行動としては、次のような行動をすることが多いで。
強度行動障害の例
・自分の身体をたたく
・異食(土や毛髪など、食べ物ではないものを食べる)
・急に部屋を飛び出す
・他人をたたく
・壁や人に頭突きをする
・人を噛む
・ものを壊す
・大泣きが何時間も続く
・こだわりが何度も何度も出てきて、やめられない
今回の話は、強度行動障害とまでは言われてないけど、上みたいな行動をする子どもの支援にもつながるで。
行動障害への支援で押さえておくべきポイント
強度行動障害の子どもを支援するときに気をつけるポイントはある?
強度行動障害への支援で押さえておくべきポイント
1.チームで動く
2.支援者は常に考え続ける
3.「パニック」を思考停止の道具にしない
1.チームで動く
支援はチームでするのが基本やで
チーム?
まず、対応は1人じゃなくて、複数人で対応するのが基本やで。そして、支援者同士で積極的にコミュニケーションをとることやね。
チームで動くために何をするのか?
・日頃のコミュニケーション:誰でも・なんでも話せる関係性をつくろう
・情報のシェア:支援での気づきや学びを他の人にも共有しよう
・共通理解:対応方法の共通理解をして、一貫した支援をしよう
2.支援者は常に考え続ける
行動障害は工夫できることがめっちゃあるねん。だから、常に(どうすればいいかなぁ)と考えて、改善していくことが大事やで。
考え続ける支援者になるための心構え
・行動障害支援は「肉体労働」ではなく、「知的作業」だ!
・試行錯誤のプロセスが重要
行動障害支援は「肉体労働」ではなく、「知的作業」だ!
行動障害やったら、子どもの身体を押さえるし、追いかけるしで、けっこう身体を使うよね。頭を使うってどういうこと?
本人をよく観察・予測・準備を考え続ける➡考えたことをやってみる。こんな意識を持ってると、行動障害の支援は工夫できるところがたくさんあるんやで。
試行錯誤のプロセスが重要
行動障害の子どもは、コミュニケーションが苦手・こだわりも強いことが多いから、最初は失敗すると思うわ。でも、試行錯誤のプロセスが大切やねん。
目の前の子どもと、今の状況を見て(なにが良いのか?)を考え続ける。うまくいかない場合は、(次にどうするか?)を考え続ける。これの繰り返しなんやなぁ。
3.「パニック」を思考停止の道具にしない
パニックが起きたときに、支援者は考えるのをやめちゃうことがあるねん。「パニックだったら仕方がない」って。
でも、パニックやったらしゃーないやん。
「自傷・他害・破壊=パニック」と決めつけるのではなくて、(なんでこんな行動をしてるのか?)って考えることが大事やねん。
「自傷・他害・破壊=パニック」と決めつけない
特に、子どもが「自分の要求を通したいときの方法」として、自傷・他害・破壊をしてる場合は、絶対に要求を通したらダメ。
➡まずは、支援者みんなが記録を取って話し合うことが大切
ただ、支援者が理由・原因を考えすぎて、対応の注意マニュアルが増えすぎてるときもあるから、たまには支援の内容を振り返ることも必要やで。
強度行動障害への支援のコツ
強度行動障害についてちょっとわかってきたぞ!
そろそろ具体的な支援の方法を聞きたいねんけど。
具体的な支援のポイントとして、①支援の目的を確認した上で、②環境設定のコツと③毎日の生活(日課)のコツを勉強していこか。
①支援の目的
強度行動障害の子どもが自傷や他害をすると、支援する側もついつい冷静さを失って無理をしちゃうねん。でも、その子自身の人権を認めることが大事。
ちゃんと人として扱うってことやね。その上で、行動障害の人がしたいことやできることを増やしていくにはどうすればいいの?
支援をするときには、プロンプトレベルを意識したらいいで。
プロンプトレベルを意識した指導
レベル1:声掛け(イラストや写真も含む)
長所➡どんな場面でも使うことができて便利
短所➡言語理解が苦手・聴覚過敏な子どもには合わない
レベル2:ジェスチャー(指さしやサインも含む)
長所➡自閉症や行動障害のある人にも伝わりやすい。声掛けと合わせても◎
レベル3:モデリング(見本を見せて、マネをしてもらう)
長所➡複雑で慣れない動作をしてもらうときに効果的。視覚優位な人に伝わりやすい
レベル4:身体誘導(身体に触れて動作を促す)
長所➡わかりやすい
短所➡触覚過敏の子どもには合わない
※レベル4は最小限にとどめて、支援者の介入を減らしていくことが大切
プロンプトレベルを意識してレベル4からレベル3➡2➡1と下げていく。そして、支援者の介入を減らしていくねん。これが子どもの自立につながっていくんやね。
②環境設定のコツ
環境設定をするときは、【場所】【ひと】の両方からの視点を意識するのが良いで。
環境設定のポイント
【場所】
活動と空間をリンクさせる➡「この場所ではこれをする!」
【ひと】
本人の特性を知る➡「何が得意?苦手?」
支援者の立つ位置を考える➡どこに立つ? 座る?
周りの環境・状況と本人の特性が問題行動の背景にあるんやで。だから、その2つを踏まえて、必要なサポートを考えていくことが大事なんや。
【場所】活動と空間をリンクさせる
リンクさせるってどういうこと?
「この場所ではこれをする!」って決めておくことやね。本人が安心して活動に取り組めるようになるで。
「この場所ではこれをする!」の例
・体操➡体育館
・作業➡教室1
・学習➡教室2
・食事➡食堂
・休憩➡パーテーションの中
強度行動障害の場合は、緊急避難場所として一人になれる空間を用意しておくのも大事やで。個室があるなら、そこをいつでも使えるようにしておく。
その人専用の個室をつくる場所がないときはどうすればいい?
1畳ぐらいで良いから、パーテーション(仕切り)、マット、クッションなどを使って、そんな場所をつくることやね。
できるだけ刺激をなくして、混乱・興奮が落ち着くような場所にしたいね。
【ひと】本人の特性を知る・支援者の立つ位置を考える
環境設定をするには【ひと】の視点も大切やで。特に子ども本人と支援者やね。
本人の特性を理解した環境設定
視覚:まわりが気になる? 電気がまぶしい?
聴覚:大きな音が苦手? 静かなところが好き?
嗅覚:どんなにおいが好き? 嫌い?
味覚:好きな食べ物はなに?
触覚:どんなものが好き? 暑がり? 寒がり?
こだわり:きちっとしたい? 何回もしたい?
色:好きな色はある?
特性を理解したらどんなことができるの?
本人の特性を理解した支援の例
視覚:壁への掲示物をなくす。電気を消す。
聴覚:イヤーマフ(耳当て)をつける。静かな部屋をつくる。
嗅覚:好きなにおいのものを近くに置く。
味覚:ごほうびをあげる(こだわり注意)
触覚:好きな小物を近くに置く。適切な室温、服装にする。
こだわり:こだわりに合った作業内容にする。
色:よく壊すものを好きな色にする。
あとは支援者の立つ場所やね。
支援者の立ち位置【強度行動障害】
①目(手)が届く:ただし、自立している行動には手を出さない
②すぐに動ける装備:靴、バッグ、手袋、三色ペン、手帳、スマホ、マスキングテープなど
③本人の傾向を予測する:人によって違う配置。複数対応も考える。
支援者に必要な「すぐに動ける装備」
すぐに動ける装備ってどんなもの?
装備品リスト【靴・バッグ・手袋】
まずは靴。踏ん張りがきくように、ひも靴でかかとがあるものがベスト。迷ったら「ランニングシューズ」で探したらええで。
両手が使えてコンパクトなバッグがオススメ。行動障害の支援では、必要な道具が多いうえに動くことも多いから、バッグがあった方が動きやすいで。
靴は踏ん張りがきくもの、バッグは身軽で両手があくものやったら、なんでも良さそうやね。家の押し入れを探してみるわ。
手袋は、ワークグローブっていう指先が動かしやすい手袋がオススメ。性能が良いやつはいらんから、安い手袋でいいで。
道具リスト【スマホ・多機能ペン・手帳・マスキングテープ】
次は必要な道具?
とりあえずスマホは持っとこか。動画や音楽を使った支援もすぐにできるし、何か記録をとるときにも使えるで。
何買うか迷ったらiPhoneが良いかな。困ったことがあったらアップルサポートに聞いたら丁寧に教えてくれるし。ただ、中古は当たりはずれがあるから新品で買ってや!
ペンは、多機能ペン(シャーペン、黒、赤)がオススメ。胸ポケットに入れる場合は、クリップ部分が金属のペンの方がいいで。
手帳はスケジュール管理に加えて、やることリストやメモをするときに有効やで。ただ、スマホでも同じ機能が使えるから、人によっては手帳はいらないかな。
この手帳はスマホと同じぐらいの大きさやね。
あとは、マスキングテープも準備しといたら良いで。立つ位置の目印にしたり、動いても良い範囲を示すときにも使える。
マスキングテープは簡単に貼ったり、はがしたりできるのが良いところやね。
そして、外出活動をするときには、名刺(連絡先が書いたもの)や小さな財布を準備してたら良いで。モノを壊したり、他人をケガさせるときもあるからね。
③毎日の生活(日課)のコツ
日課を考えるうえで、「その子にあった支援」は必要やねんけど、「すべて自由」ではダメやねん。
強度行動障害は、自由時間に何をしたら良いのかわからない
常同行動と感覚刺激行動にふけることが多くなる
【常同行動】
くるくる回る等の簡単な動作をくり返す
【感覚刺激行動】
自分の頭をたたき続ける等の、気分を落ち着かせるために自分に刺激を与える行動
自由時間に頼りすぎたらダメなんやねぇ。
じゃあ、自由時間以外の日課はどう決めていけばいいんか?
コツは【習慣】と【目的】やねん。
習慣をつける
まず練習したいのは席に座ることやで。
いや、なかなか席に座れないからこっちも困ってるんやんか!
【習慣】席に座る練習から始めよう
最初はあいさつのときだけでもいいから、自分の席に座る
➡座ることができると勉強や作業など、他の活動につながる
あとはルーティンを決める。
これは時間割とかの予定表で、すでに決まってる場合が多いね。
日課の内容で気をつけることはある?
内容をできるだけ具体的にすることやな。「掃除の時間」だけじゃなくて、「机を運ぶ➡モップをかける➡ちりとり➡雑巾をする時間」と手順が決まってるといいね。
日課の内容や指示は具体的にする
例えば、掃除をするときには「きれいにする」ではなく、手順を覚えさせる。
手順:机を運ぶ➡モップを端から端までかける➡ちりとり➡雑巾
毎日の日課として習慣になると、意外といろんなことができるで!!
活動に目的を持たせる
いろんな活動に目的を持たせることも大事やで。
活動の目的を持たせる【日課】
◎学習/作業/仕事:「できる」「できた」を重視する
◎余暇:興味関心に応じた活動で、興味関心を広めていく
◎休憩:リラックスを重視。安全に配慮した上で、本人の希望を尊重する
簡単に書くけど、これが難しいんやってな。
本人の状態をよく観察しながらやっていくことが大事やで。今をスタートにして、今の活動を少し工夫したり、今の日課を少し変えてみることから始めるのがオススメ。
急にいろいろ変えるよりも、常に考えて、試行錯誤していくことが大事なんやね。
ポイントは構造化【支援者がいらなくなる仕組みづくり】
支援のポイントは構造化やで。
構造化とは
学習や生活環境を整理し、わかりやすくしたり予測可能にすることで、子どもたちが安心して活動に取り組めるようにする支援の方法
支援者がいなくても、子ども自身が次に何をするかがわかって、勝手に取り組めるようにしていくんやね。
構造化をつくる視点は3つあるで。
支援者がいらなくなる仕組み【構造化】をつくる3つの視点
①空間的な視点:この場所ではこれをする(例:机の配置を工夫しよう)
②時間的な視点:この時間はこれをする(例:日課を工夫しよう)
③手順の視点:これをした後はこれをする(例:ごちそうさまをしたら掃除をしよう)
この3つの視点からいろんな工夫をして、支援者がいらなくなる仕組みを作っていくんやね!
行動しよう(今の小さな変化が未来の大きな変化につながる)
勉強した後は行動することやで。特に強度行動障害の子どもにはいろいろ試すことができると思うで (^^)/
わかった!これからもまだまだ学んで行動していくぞー!
薬からのアプローチもあるし、落ち着くことができない場合は精神科の先生に相談するのもけっこうありやで! 無理せずにチャレンジしていこう♪
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