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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
最近、先生たちの間で「愛着障害」って聞くようになってきたんやけど、子どもの愛着障害って学んだほうがいいの?
愛着障害の子どもの問題行動は激しいものが多いんよ。
しかも、どんな家庭でも愛着障害は起こるからね。
愛着障害の昔と今
昔:戦争孤児(親と死別・離別)、虐待された子どもが研究対象。
今:親と子の相性のミスマッチで起こるため、特別な家庭ではなくどんな家庭でも起こる。
愛着障害は、関わり方・支援の方法を学んで実践すると改善できるで。だから一緒に学んで行動しよ。
こんな方に読んでほしい
●子どもの問題行動に悩んでいる
●発達障害の対応がうまくいかない
●支援のレベルアップをしたい
この記事を理解すると、子どもの問題行動にうまく対処して、良い人間関係を築くことができます。
絶対にできるようになるからね!
今日は下の2冊から学んできたよ♪
👆子どもの愛着障害に注目した本。子どもへの支援方法を具体的に知りたい人にオススメやで。
👆学校の先生向けに書かれた本。
いっぱい子どもがおる中で愛着障害の子どもと関わらなあかん!どうしよう?っていう人にオススメやで。
▼この記事の動画版もあります▼
▼今回の内容を1枚にするとこんな感じ▼
※高画質な画像はX(旧ツイッター)でアップしています。https://x.com/manabu_syogai/status/1835845380141121946
愛着障害の子どもの3つの特徴と6つの行動
目の前の子どもが愛着障害かどうか? ってわかるん?
愛着障害の子どもにあらわれやすい3つの特徴と6つの行動があるよ。
その特徴と行動があったら愛着障害って考えられるんやね。
そうやで。一緒に学んでいこな。
愛着障害の子どもの3つの特徴
愛着障害の子どもには共通する特徴があるんよね。
愛着障害の子どもの3つの特徴
①愛情欲求行動(注目されたいアピール行動・愛情試し行動)
②自己防衛
③自己評価の低さ(自己否定・自己高揚)
①愛情欲求行動
1つ目の特徴は愛情欲求行動です。
具体的には、
「注目されたいアピール行動」と「愛情試し行動」としてあらわれます。
注目されたいアピール行動
注目されたいアピール行動とは、周りから注目してほしくてする行動です。
●周りから注目してほしくて痛くないケガでも痛そうにふるまい、手当てをして欲しがる。
●いたずらをする。
●自作自演(自分でモノを隠して、自分で見つける。自分で事件を起こし、被害者ぶる。)
●わざとおもらしをする。
●静かなところでものをたたく、大声を出す、騒ぐ。
愛情試し行動
愛情試し行動とは、わざと相手の反応(怒らせたり、困らせたり)を引き出すようなふるまいをして、これをしても「許されるかどうか」「叱られるかどうか」「叱られると怖いかどうか」を試すような行動です。
愛情欲求行動の対応が難しいのは、子どもの愛情欲求行動がエスカレートしていくからやねん。
愛情欲求行動による子どもの要求を受け入れても、要求は収まりません。
むしろ、よりエスカレートして問題行動が悪化していきます。
◇愛情試し行動の後は、相手によって行動を変えるようになる。
➡家では良い子なのに外で暴れる。
外では良い子なのに家で暴れる。
といった行動が見られます。
◇二度目の試し行動
愛情試し行動は、子どもとの関わりはじめに多く見られます。
ただし、子どもと関係ができた後に起こることがある。
なるほど。子どもと関わりときに1回目の愛情試し行動が起こる。そして、関係ができた後に2回目の愛情試し行動が出てくるってことやね。
※二度目の愛情試し行動は子どもと良好な関係ができてきた証拠です。
➡落ち込まず・あきらめずに支援を続けることが大切です。
②自己防衛
2つ目の特徴は自己防衛です。
育ってきた中で誰からも守ってもらったことがないため、自分で自分を守るためにうそをついたり、攻撃的になったり、自分を正当化します。
●問題行動を指摘されても絶対に認めない。(たとえ証拠があったとしても認めません。)
●けんかなどのトラブルでも、自分が被害者で相手が悪いと主張する。
③自己評価の低さ
3つ目の特徴は自己評価の低さです。
自己評価の低い子どもは、感情や気分のムラがあり、日によって活動や取り組みへの姿勢・やる気が大きく変わります。
自己評価の低さは、「自己否定」と「自己高揚」としてあらわれます。
自己否定
自己否定とは、「自分は何をやっても無理」、「自分なんて生まれてこなければよかった」と自分の能力や存在を否定することです。
失敗した経験ばかりを積み重ねて、「どうせできない」と始めからやらないことも多いです。
周りから見たらできてるんやけど、本人が「失敗だ」と思っているときがあるんよね。
自己高揚
自己高揚とは、自己評価が低いことを自分で認められず、無理やり、瞬間的にも自分を高めようとする行動です。
●自分ができていなくても、他人のできていないことを指摘する。
➡例えば、自分はだらしなく座っているのに、隣の子どもに「ちゃんと座れ!」と注意する。
●お金や物をあげる。
➡あげることで一瞬でも自分の評価を高めようとしている。
●いじめる。
➡他人の欠点や弱点を言いはやして、相手を下げることで自分を上げようとしている。
対応がより難しい子ども
ADHD(注意欠如多動症障害)やASD(自閉スペクトラム症)がベースにある子どもの場合、支援や対応がより難しくなります。
愛着障害の子どもの6つの行動
愛着障害の子どもの問題行動はどんなもんがあるの?
愛着障害の子どもにあらわれやすい行動は6つあると言われてるんよ。
この中の2~3個以上当てはまると愛着障害の可能性が高いよ。
6つの行動(2~3個以上当てはまると愛着障害)
①モノとの関係
➡さわる必要のないものをさわる。
②口の問題
➡さわっていたものを口に入れる。
③床への接触
➡床と接触したがる。
④人への接触
➡距離感が近すぎる。もしくは遠すぎる。
⑤姿勢、しぐさ
⑥危険な行動
①モノとの関係
行動の1つ目は、モノとの関係(さわる必要のないものをさわる行動)です。
例えば、
●机の上の鉛筆や消しゴムをさわる。
●顔や髪の毛、服やズボンをさわる。
●ポケットに手を入れる。
●壁や机を触りながら歩く。
●ベッドまわりにぬいぐるみを置きたがる。
②口の問題
行動の2つ目は、口の問題(さわっていたものを口に入れる行動)です。
例えば、
●鉛筆や消しゴム、机、ハンカチ、服などを口に入れる。
●舌なめずりをする。
●指を吸う。
③床への接触
行動の3つ目は、床への接触(床と接触したがる行動)です。
例えば、
●いつでも裸足になりたがる。
●床に座り込む、寝転ぶ、はいまわる、転がりまわる。
④人への接触
行動の4つ目は、人への接触(人との距離感が近すぎる。もしくは、遠すぎること)です。
人とのちょうど良い距離感がわからず、距離感が近すぎたり、遠すぎたりします。
距離感が近すぎる
●だれにでも警戒せずに関わりたがる。
●何歳になっても、だっこ、おんぶ、ひざのり等をしたがる。
人との距離感が近すぎる人は上のような行動をすることがあります。愛着障害のタイプで言うと、不安型、脱抑制型、脱抑制対人交流障害(OSED)を抱えている人に見られます。
愛着障害のタイプについては下の記事で詳しく解説してるで
距離感が遠すぎる
●誰に対しても警戒する。
●人に近づかいない。
●前から人が近づくのを嫌がる、怖がる。
人との距離感が遠すぎる人は上のような行動をすることがあります。愛着障害のタイプで言うと、回避型、抑制型、反応性愛着障害(RAD)を抱えている人に見られます。
⑤姿勢、しぐさ
行動の5つ目は、姿勢・しぐさです。
例えば、
●良い姿勢を維持できない。
●服装が乱れている
➡だらしない、季節に合わない。
●おしっこやうんちをもらす。
⑥危険な行動
行動の6つ目は、危険な行動です。
例えば、
●物を投げる、ふりまわす。
●かみつく(自分の体や服、他の人)。
●高いところに登る。
●他人への暴力や暴言がみられる。
愛着障害の子どもの特徴と行動について知りたかったらこの本がオススメやで。
愛着障害の子どもへの支援方法
愛着障害の子どもに、具体的にどう関わったり支援したらいいん?
支援のポイントは3つあるで!
●してはいけない対応
●叱るコツ
●愛着はまずは1対1で結ぶ
ここらへんを勉強したら、具体的な支援方法がわかるってことやね!
してはいけない対応
愛着障害の子どもは、不適切な行動をするから対応が求められることも多いんよ。
しかも、そのときにしたらダメな対応があるのが難しいところ。
愛着障害の子どもにしてはいけない対応
①本人に理由や気持ちを聞く。
②無視する、取り上げない。
③腫れ物に触るような対応をする。
④受容・傾聴・向き合う。
⑤ほめる、甘えさせる。
⑥叱る、追いつめる。
⑦周りの大人が無連携に関わる。
①本人に理由や気持ちを聞く。
してはいけない対応の1つ目は、本人に理由や気持ちを聞くことです。
例えば、
●どうしてこんなことしたの?
●どんな気持ちだったの? と聞くことです。
愛着障害は感情発達の障害やねん。だから、気持ちや理由を聞いても「わからない!」とよけいに混乱しちゃうねんなぁ。
「感情発達の障害」とは?
愛着障害の子どもは、感情や情緒(喜び、悲しみ、怒り、恐怖、不安など)を伝えることが苦手です。親の死別・離別、虐待、ミスマッチ、自閉スペクトラム症などで、身近な人と気持ちや感情を通わせることができなかったためだと考えられます。
②無視する、取り上げない。
してはいけない対応の2つ目は、無視する、取り上げない対応です。
不適切な行動をしたときに無視をすると、問題行動をより激しいものにしてしまう可能性があります。
愛着障害と発達障害の対応の違い
ADHD(注意欠陥多動性障害)に対しては、わざと無視をして不適切行動を減らすこともあります(「計画的無視」といいます)。
③腫れ物に触るような対応をする。
してはいけない対応の3つ目は、腫れ物に触るような対応です。
例えば、
●子どもがなにをしても叱らない。
●子どもの命令、支配に従うだけ。
※子どもが暴れるときに、支援者(親、教師、指導員など)がこの対応をしてしまうことが多いです。
④受容・傾聴・向き合う。
してはいけない対応の4つ目は、受容・傾聴・向き合う対応です。
例えば、
●子どもの要求を無条件に受け入れる。
●ひたすら話を聞いてあげる。
●子どもの真正面に立つ。(※人との距離感が苦手な子どもが多いから)
※傾聴して子どもの話をひたすら聞いても、子どもは自分の気持ちや感情が分からず、余計に混乱する(愛着障害は感情発達の障害)。
⑤ほめる、甘えさせる。
してはいけない対応の5つ目は、ほめる、甘えさせる対応です。
●ひたすらほめるだけ。
●甘えさせるだけ。
この対応では、愛情欲求行動(注目されたいアピール行動、愛情試し行動や子どもからの命令がどんどんエスカレートしていきます。最初は要求を受け入れたとしても、最後には実現できないムチャな要求にまでエスカレートし、実現しなければ暴れまわることになってしまいます。
※ほめる・叱るコツは下の「②子どもを𠮟るコツ」で解説します。
⑥叱る、追いつめる。
してはいけない対応の6つ目は、叱る、追いつめる対応です。
※ほめる・叱るコツは下の「②子どもを𠮟るコツ」で解説します。
⑦周りの大人が無連携に関わる。
してはいけない対応の7つ目は、周りの大人が連携せず、好き勝手に関わることです。
※愛着は最初は1対1で結ぶ必要があります。
子どもを叱るコツ
したらダメな対応が多すぎやん…。
どうやって支援していけばいいん?
子どもをほめる・叱るにはコツがあるんよ。
参考にしたいのは厳しくて優しい先生やで。
◇厳しくて優しい先生は、先手の支援をすることで大人が主導権をもつことができています。
厳しさ【先手を取り、子どもに主導権を渡さない】
厳しくて優しい先生の厳しさって、逸脱する行為には毅然と対応するっていうことやねん。
ルールを破ったら許さないってことやね。
うん。そのときに大事なことが
先手を取ることやねん。
後手の対応とは、子どもの要求・行動に大人が対応することです。
つまり「子どもの要求・行動➡大人の対応」
一方、先手の支援とは、子どもの要求・行動の前に大人の要求を入れます。
つまり、「大人の要求➡子どもの要求・行動➡大人の対応」
先手の支援では大人の規準でほめる・叱ることが大切なんよね。この、「大人が先」っていう主導権を意識すると、他の場面でもコミュニケーションが取りやすくなるよ。
そしたら、何をしたらほめられるか、叱られるかというクラスのルールも最初に示しておくのがいいね。
そして、ルール違反には毅然とした対応(「ダメなものはダメ」と譲らないこと)が大事やね。
逸らしの支援
でも、本人の様子から毅然とした態度をするのが難しいときもあるよね?
そんなときは、逸らしの支援を覚えておくと良いよ。
◇逸らしの支援とは、不適切な行動を別のことに逸らす支援の方法です。
例えば…
●子どもが廊下を走っているときには、
➡「走ったらダメ」ではなく、「歩くよ!」と声を掛け、歩き出したらほめる。
●子どもが教室を飛び出したときには、
➡「飛び出したらダメ」ではなく、「○○するために教室に行こう」と声を掛け、できたらほめる。
逸らしの支援の良い点
◎先手の支援につながり、大人が主導権を取ることができる。
◎不適切行動を止めるだけでなく、逸らした後の行動をほめることができる。
ほめるのが苦手な人は、
「ありがとう」とか「助かった」と言うだけでも、子どもに伝わるよ。
愛着は1対1で結ぶ【先生の優しさ】
厳しくて優しい先生は、全体指導は厳しいんやけど個別の言葉かけはあたたかいねん。
ルールを破って叱るだけやったら、厳しいだけの先生やもんね。
子どもと関わり始めたときに大切なことは、愛着は1対1で結ぶっていうことやで。
◇初期の支援では、1対1で一緒の活動をすることと、入り口と出口の支援を意識しましょう。
1対1で一緒の活動をする。
愛着障害の子どもと関係を結ぶには、一緒に活動をして、感情を共有することが大切です。
一緒の活動とは
支援者と子どもが一緒に活動をすることで関係を結んでいくことができます。
ポイントは次の3つです。
①できれば1日1回以上行う。
②できれば2人きりで行う。
③一緒の活動をする。
料理・草むしり・工作・お絵かきといった、
「同じ方向を向く・さわる・つくる・できる」活動がオススメです。
◇勝敗がつく活動(オセロなど)や、役割が固定される活動(勉強など)は、オススメしません。
感情を共有する
一緒に活動をしているときに大切なことは、
大人が感情を教えるようなイメージで言葉かけをすることやね。
◇「今の気持ちが【楽しい】っていうことだよ」「これが【うれしい】の気持ちだね。」などなど。
このときも、子どもに感情を聞いたらダメなんやね?
おっ!わかってきたね♪
愛着障害は感情発達の障害やから、感情とか気持ちを子どもに聞くと混乱しちゃうんよね。
入り口と出口の支援
ただ、他の子どももいっぱいおる中で、どうやって1対1の時間を取ればいいん?
しかも、子どもたちって「えこひいき」をめっちゃ嫌がるし。
そんなときは、入り口と出口の支援で1対1をつくるのがオススメやね。
◇入り口とは登校したとき、出口とは放課後の時間です。
例えば、
●登校時にあいさつをして、1人1人に声を掛ける。
●放課後に呼び止めて、1日を振り返る。(ただし、この振り返りも子どもに聞くのではなく、大人が言葉にすることを意識する)。
入口と出口の支援で、まぁまぁ自然に1対1の関係をつくれるで。
愛着障害が治ったかの判断
愛着障害って治るの?どうやって判断できるの?
1つのゴールは、探索行動がでてくることやね。
探索行動とは
子どもは、安全な場所や安心できる人を感じられると、次は子ども自身でいろんな場所へ行って新しい出会いを経験したり、知識や情報を手に入れるようになっていきます。
このように、安全な場所や安心できる人から離れて、子ども自身でまわりのことを知ろうとする行動を探索行動と言います。
◇探索行動をとることが愛着障害の子どもと支援者にとっての1つのゴールだといえます。
より具体的な支援方法を知るには下の本がオススメやで。
さいごに【なんでもやってみよう】
今回の記事を読んで、最初はできる部分から取り入れて行動していきましょう。
試行錯誤を繰り返すことで気づけば、「あれ?うまく関係を築けてる…」と実感しているはずです。
今の小さな積み重ねが、どんどん大きな変化を生み出して、より良い未来につながってる(^^)/
これからも一緒に学んでいこう♪
▼愛着障害をより詳しく知りたい人は下の記事を見てください▼
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