※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。
このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
特別支援学校卒業後の子どもの進路はどうやって決めていくん?
今回は特別支援学校の高校生がどうやって進路を決めていくのかについて学ぼう。
こんな方に読んでほしい
●特別支援学校を卒業した後にどんな進路があるのか知りたい
●障害のある子どもの進路に不安がある
●支援学校や支援学級で担任になった
今回の記事を理解すると、漠然とした不安が解消し、子どもの未来を具体的に考えることができます。
絶対にできるようになるからね!
卒業した後の仕事で悩んでる人はまずは周りの人とか福祉課に相談することやで。もし相談する人がいなくても、下のような転職サイトもあるから安心してや。
▼この記事の動画版もあるので、もし良かったらどうぞ!▼
▼今回の内容を1枚にするとこんな感じ▼
※高画質な画像はX(旧ツイッター)でアップしています。https://x.com/manabu_syogai/status/1835849574692602028
進路の基本はマッチング
障害のある子どもが進路を考えるときに重要になるのはマッチングやで。
子どもと進路先が合うかどうかってことやね。
特別支援学校では実習を通してマッチングを判断していくんよ
特別支援学校の実習【産業現場等における実習】とは?
商店や企業,農業,市役所などの公的機関,作業所などの福祉施設などで,一定期間,働く活動に取り組み,働くことの大切さや社会生活の実際を経験することである。
文科省HP『平成30年度新特別支援学校高等部学習指導要領等説明会における文部科学省説明資料(3/3)』職業-9頁
特別支援学校の産業現場等における実習の内容は?
実習をする人➡特別支援学校の高校生(高等部)
実習の期間➡1~2週間
実習の頻度➡1年に2回程度
※ただし、学年や子どもの特性によって期間や頻度を変えている学校が多い
実習はけっこう長いんやね。これで子どもと進路先のマッチングを探っていくんか。
実習の流れと進路決定
じゃあ実際の実習先はどうやって決めるん?
実習先は学校・保護者・本人とみんなで相談しながら決めていくんやで。具体的な流れを下に書いとくわ。
実習先・進路先の決め方
①学校と本人・保護者が相談をして、実習の希望先を決める
担任との面談や懇談などを通して決めていく
本人や保護者の希望が尊重されることが多い
②産業現場等における実習を実施する
実習の希望先が受け入れてくれたら、1~2週間の実習をする
③実習後:実習先からの評価がくる
どんな評価がくる?➡次回の実習や卒業後に採用・受け入れができるかどうか。
④次の実習や進路につなげていく。(①に戻る or 卒業)
高1は進路先について学ぶ
高2は自分にできる・合う進路先(仕事内容や過ごし方)を探す・選ぶ
高3の実習は、卒業後に通勤・通所する前提で、そこに慣れる
教師・保護者・本人の立場でするべきこと
なるほどね。じゃあ、進路先・実習先を決めるためにしておいた方が良いことってあるん?
もちろん! いろんな人に聞いて情報収集することは大切やね。あとはそれぞれの立場によってしといたほうが良いことも下に書いとくから参考にしてみてや。
実習先・進路先を決めるためにそれぞれの立場でするべきこと
◇学校の先生◇
いろんな進路先の仕事内容を知る。その子と似ている先輩の進路・実習の様子を知る。
➡特別支援学校は保護者同士のつながりが強く、情報交換も頻繁にしている。そのため、先輩や卒業生の話をすると保護者もイメージしやすい。
◇保護者◇
進路先※について調べたり、見学にどんどん行く。※主な進路先について後で説明します。
●事業所(就労移行支援・就労移行支援A型・就労移行支援B型・生活介護)希望の場合
➡とにかく見学に行く(できれば本人と一緒に。親だけでももちろんOK)
●一般企業希望の場合
➡希望する仕事内容や勤務地を学校に伝えれるようにしておく
※家庭の希望が尊重されるため「学校におまかせ!」ではなかなか話が進まないことに注意。
◇本人◇
卒業後にどんな仕事があるのか? 何がしたいのか? 何ができるのか? を考える。
➡進路先について知る(調べる、聞く)、希望を周りに伝える。
主な進路先
特別支援学校では実習を通して進路先を決めていくんやね。卒業したら具体的にどんなところに行くの?
特別支援学校を卒業してからの進路先は主に5つあるで。
主な進路先は5つ
障害者の進路先は、一般企業・就労移行支援事業所・就労継続支援A型事業所・就労継続支援B型事業所・生活介護事業所の5つがメインやで。
きゃー、漢字がいっぱい。早口言葉みたいや。ひとつずつ教えてー
一般企業(障害者雇用)
◇一般企業の障害者雇用で働く(仕事時間・内容・異動で配慮がある)
みんながイメージするような普通の会社やで
会社は障害者を雇わなければならない【法定雇用率】
従業員43.5人につき、障害者1人雇わなければならない(法定雇用率2.3%)
➡2024年4月からは2.5%,2026年4月からは2.7%に引き上げ。
※100人以上の会社が法定雇用率未達成だと、お金(障害者雇用納付金)を払う必要がある
就労移行支援事業所
◇就労移行支援事業所:働く働くための知識やスキルを学ぶ学校みたいなところ
就労移行の特徴
・利用料は無料の事業所が多い
・原則は2年間。その後、一般企業や就労継続支援事業所に進む
・基本的にお金はもらえない(※活動内容によってはもらえる事業所もある)
就労継続支援A型事業所
◇就労継続支援A型事業所で働く(雇用契約あり)
ポイントは雇用契約を結ぶってこと。
A型事業所の特徴
・最低賃金が保証されている
・有給休暇を取ることができる
・社会保険などにも入ることができる
※月給平均(令和4年度):83,551円(勤務時間が短い人が多い)
※B型と比べて支援してくれる人が少ない(利用者10人程度に対して支援者1人)
就労継続支援B型事業所
◇就労継続支援B型事業所で働く(雇用契約なし)
B型事業所の特徴
・最低賃金は保証されない
➡給料は、賃金ではなく「工賃」と言われる
・月給平均(令和4年度):17,031円
・A型と比べて支援してくれる人が多い(利用者4~5人に対して支援者1人)
B型は事業所によって全然ちがう。やってる内容も利用してる人も全然違うんやで。だから、実際に見学に行ってんな場所か確認することが大事やねん。
生活介護事業所
◇生活介護事業所:日常生活を送ることをサポートしてくれるところ
生活介護の特徴
・食事、トイレ、入浴の介助・支援をしてくれる
・掃除、洗濯、調理の支援をしてくれる
・創作活動、仕事、運動も行う
創作活動とか仕事で、少しだけお金がもらえることもあるで。
子どもの適正と進路先
5つの進路先はわかったけど、けっきょくどこに進めばいいん?
一つ目の判断基準は、雇用契約を結んで働けるのかどうか?
一つ目の判断基準は、一般企業・A型にいくのか、B型・生活介護にいくのか。どっちにいくのかってことやね。
このふたつはどう違うん?
雇用契約を結んでるかどうか? ってことやで。一般企業・A型にいきたいと思っても、基準が厳しいから、いけないことも多いんよね。
え? なんで厳しいん?
雇用契約を結ぶと最低賃金を保証する必要があるからやで。「この人に時給を払うことができるのか?」を雇う側がシビアに判断することになるねん。
※就労移行支援は、事業所ごとに違いがあり、一概には言えません。
一般企業・A型に求められる能力
・指示を受けて一人で作業をすることができる
・安定している(作業能力かメンタルのどちらかは安定して仕事を継続できる)
・自分で通勤できる
一般企業と就労継続支援A型がおすすめの人
いっぱい会社や事業所があってどこにいけばわからん…、何かめやすとかないの?
基本的には進路先と本人とのマッチングやで! ただ、どんな人が向いているかっていう目安もあるっちゃあるで。
一般企業がおすすめの人
何回も言うけど基本は企業とのマッチングやで。ただ、あえてオススメの人をあげるとすると、コミュニケーションが得意・好きな人とかたくさん働きたい人やで。
コミュニケーションが得意、好きな人
・言われた仕事をきちんとできる
・自分の意見や仕事の希望を答えることができる
※中小企業の場合、企業が手探りで仕事を決めていくことも多いから、コミュニケーションの力が求められる。
たくさん働きたい人
・お金が欲しい
・体力がある
・休みはそんなにいらない
・働くのが好き
就労継続支援A型がおすすめの人
じゃあA型にオススメなのはどんな人?
A型がオススメの人
◇コミュニケーションが苦手・嫌いだけど、作業の力がある人
●仕事内容が比較的はっきりと決められている事業所が多いから
◇働くことへの不安が強い人
●サポートしてくれる人がいて、聞きやすい
●自分と似た障害を持つ仲間が、職場にたくさんいる
◇課題が明確な人
●長い時間働くことができない
※A型は、フルタイム雇用は少なく、週に20~30時間の勤務が多い
●報告ができない、スピードが遅い、など
※課題が明確であればサポートがしやすいから
ただし、求められるレベルは高いんやで。
就労継続支援B型と生活介護がおすすめの人
じゃあ、B型と生活介護におすすめの人は?
ここも基本は進路先と本人とのマッチングやで。特にB型と生活介護は事業所によってやってることが全然違うから、興味のあるところには見学にいくことが大事やで。
事業所による違い
●仕事内容:仕事の難易度、合うか合わないか、仕事内容が選べるかどうか、など
●雰囲気:静かかうるさいか、支援員の接し方(敬語かフランクか)、他の利用者の様子、など
●仕事で求められるレベル:作業時間、精密さ、数、など
B型事業所は、「ほとんどA型事業所やん!」っていうところから、「これって仕事なん?」っていうところまで、とても幅が広いんよ。
B型と生活介護は事業所によって、かなり違うってことか。
うん。だからこそ、いろんな特性のある人たちの受け皿にもなってるんよね。違いがあるからこそ、実際に見に行って仕事内容や雰囲気を知ることが大切なんやで。
◇事業所の仕事内容や雰囲気を知るためには、見学して実際に自分の目で見ることが大切
◎実習先を決める前に、本人・保護者で事業所の見学に行く。
◎子どもの将来像をイメージする。
●そもそも、そこで働いている(活動している)姿がイメージできるかどうか?
●そこに入って、伸びしろがあるかどうか?
➡卒業してからの成長をイメージしよう。
さいごに
今回は特別支援学校の進路の決め方について解説しました。
学校、保護者、本人が協力して、良い実習・自分に合った進路先を決めていくのが大事なんやね。そして、卒業後も自分の人生を充実したものにしていってほしい。
今の勉強が、将来に絶対つながっていくんやで。これからも一緒に学んで行動していこう
参考資料・URL
①厚生労働省「令和4年度工賃(賃金)の実績について」、https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001220331.pdf(2024年5月14日閲覧)
②厚生労働省「事業主の皆様へ:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」、
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf(2024年5月14日閲覧)
③障がい福祉事業の開業支援【大阪・京都・奈良】「就労継続支援A型の人員配置基準をわかりやすく解説」、https://syogaifukushi-osaka.com/shuro-keizoku-shien-a-jinin-haichi-kijun/#:~:text=%E5%B0%B1%E5%8A%B4%E7%B6%99%E7%B6%9A%E6%94%AF%E6%8F%B4%EF%BC%A1%E5%9E%8B%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%93%A1%E9%85%8D%E7%BD%AE%E3%81%AB%E3%81%AF,%E4%BA%BA%E5%93%A1%E9%85%8D%E7%BD%AE%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E5%BE%93%E6%A5%AD%E8%80%85%E9%85%8D%E7%BD%AE7.5%EF%BC%9A1,%E3%81%AE%E9%85%8D%E7%BD%AE%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82、(2024年5月14日閲覧)
コメント