このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
今回のニュースは【障害者グループホーム 結婚・出産支援1割】
どういうこと?
結論から言うと、知的障害者の結婚や子育て支援が全国的に手薄だよっていうニュースやね。今回は少し深掘りして話をしよか。
こんな方に読んでほしい
●障害者に関する最新ニュースを知っておきたい。
●知的障害者の結婚・出産・子育てが、なぜ最近注目されているのかを知りたい。
今回の記事を理解すると、他のニュースとのつながりが見えるようになります。
一緒に勉強しよう!
▼この記事の動画版もあるので、もし良かったらどうぞ!▼
概要【障害者の結婚・子育て支援が全国的に手薄だ】
どんなニュースなん?
今回のニュースは、知的障害者の結婚・出産・子育て支援についての初めての実態調査(厚生労働省)の結果が出たよっていうニュースやねん。
調査の概要
対象:障害者向けグループホーム(入居の70%が知的障害者)
調査数:全国2600カ所へ調査➡300カ所が回答
調査の時期:2023年12月
結果【選択肢(複数回答)】
・社会的・経済的な自立のための支援:9%
・性に関する情報提供・助言:14%
・相談支援:15%
・各種サービスや支援機関への連絡・付き添い、手続きの支援:29%
※2年弱(2022年4月~2023年12月)に実際に相談があったグループホーム
・妊娠・出産について:5%
・子育てについて:4%
➡支援できたのはともに3%
課題
・障害者の子育てを支える体制が乏しい
・性教育を行う機会や人材の不足
・支援のノウハウが乏しく、どのような対応をすべきか分からない。
➡厚労省は2024年度に知的障害者や支援者向けの情報提供に乗り出す。
少し深掘り ~なぜ今回、調査されたの?~
今回の厚労省の調査もそうやけど、最近、知的障害者の結婚・子育てに関するニュースが増えてきたんやけど、なんでなん?
それは、2022年のニュースがきっかけやで。
2022年 北海道のグループホームで知的障害者が不妊処置を受けていたことが発覚
※結婚・同居を希望する知的障害者に不妊方法を紹介
➡8組16人が処置を受けたと説明した。
※その後の調査で「強制された事実はなかった」と結論付けられた(参考記事②より)。
このあと問題になったのは、【国の制度は知的障害者の結婚や育児が想定されていない】っていうことやってん。
※障害者支援は、障害を持った本人への支援が中心で、そもそも、結婚・育児は想定されていません。
今回のニュースは、知的障害者の結婚・子育ては
「実際どうなん?」っていう実態調査やったっていうこと?
そう!そして、「やっぱり手薄やったわぁ」っていうのがわかってんな。
➡この調査を受けて、厚労省は2024年は知的障害者や支援者向けの情報提供に乗り出す。
考える材料:前提知識の整理
世間の評判を聞いてると「障害者」のイメージが人によって違うから話が通じてない感じ。
人によって、障害者のイメージが違いすぎて議論にならない。
・重度の知的障害者ばかりと接している人
➡子育てなんてできるわけないやん。反対!
・軽度や境界知能の知り合いがいる人
➡支援があればできる! 賛成!!
・これまで接したことがない人
➡興味なし…
だから、自分の意見を考えるためには、自分の障害者へのイメージを整理することが大切やね。
知的障害とは?
知的障害の定義は次の通り
知的障害の定義は、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」(参考文献③より)である。
なんか難しい。もうちょっとわかりやすくならんの?
めっちゃ簡単に言うと次の2点!
●知能検査の結果がIQ70以下
●日常生活に支障が出ている
◇発達期(おおむね18歳まで)にあらわれる知的機能の障害
➡知能検査(ウェクスラー式知能検査や田中ビネー知能検査など)で【IQ70以下】
◇日常生活の支障
➡日常生活で必要なことができない(トイレ、食事、着替えなど)。
➡他者とコミュニケーションがうまくとれない。 など
◇IQと日常生活の能力で【軽度知的障害~最重度知的障害】まで分けられる。
ここで整理したいのは、知的障害者には軽い人からめっちゃ重い人までおるってことやで。
障害者グループホームとは?
今回調査された障害者グループホームってどんなところ?
障害者がサポートを受けながら共同生活をするところやで。
必要があれば介護サービス(※)も受けることができる。
※下図のような介護サービスがあります(参考文献④)。
ここで押さえたいことは、グループホームによって受け入れる障害者が全然違うっていうこと。
軽度の人が多いところから重度の人を受け入れているところまで、それぞれの特徴があるんよ。
軽度の人が多いところは恋愛感情とかも生まれやすいかもね。
障害者への不妊処置ってどうなん?
障害者への不妊処置に対する考え方は年齢によって大きく違うんよ。
え?なんでなん?
障害者への不妊処置は1996年まで法律で認められていた(旧優生保護法)からなんよ。
▼障害者への不妊処置を認めている旧優生保護法を詳しく知りたい方は、下の動画を見てください▼
押さえておきたいポイントは、
年齢によって障害者への不妊処置に対する考え方がけっこう違うっていうことやね。
障害者の結婚・子育てに関する課題
このニュースは、知的障害者の結婚・子育て支援が手薄やという課題を浮き彫りにしたんよね。
手薄な実態が明らかになったから、今からがスタートって感じやね。
うん。ニュースをきっかけに「これからどうしていく?」って話し合っていくことが大事やね。
この記事を読んだみなさんの考えも、ぜひ教えてください
参考記事・URL
①「障害者グループホーム 結婚・出産支援1割」北陸中日新聞、2024年5月19日、朝刊、12版、2面。
②13人が不妊処置、強制の事実は確認できず 北海道の知的障害者施設https://www.asahi.com/articles/ASR6P6GFYR6POXIE00G.html(参照2024年6月13日)。
③「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html、(参照2024年6月13日)。
④「障害福祉サービスについて」厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html、(参照2024年6月13日)。
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