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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。

特別支援学校卒業後の子どもの進路はどうやって決めていくん?

今回は特別支援学校の高校生がどうやって進路を決めていくのかについて学ぼう。
こんな方に読んでほしい
●特別支援学校の卒業後の進路を知りたい
●障害のある子どもの将来に不安がある
●支援学校や支援学級の担任の先生
この記事で、進路の漠然とした不安が解消し、子どもの将来を具体的に考えることができます。

絶対にできるようになるからね!
▼動画もぜひ見てください!
▼勉強ノート(内容を1枚にまとめたで)

進路の基本はマッチング


障害のある子どもが進路を考えるとき、重要なのはマッチングやで。

子どもと進路先が合うかどうかってことやね。

特別支援学校では実習を通してマッチングを判断していくんよ
特別支援学校の実習とは?
正式には【産業現場等における実習】といいます。
➡商店や企業,農業,市役所などの公的機関,作業所などの福祉施設などで,一定期間,働く活動に取り組み,働くことの大切さや社会生活の実際を経験すること
文科省HP『平成30年度新特別支援学校高等部学習指導要領等説明会における文部科学省説明資料(3/3)』職業-9頁

職場体験みたいなもんか。実際に企業で働いたり、施設の活動に参加できるんやね。
実習の内容は?
・実習をする人➡特別支援学校の高校生
・実習の頻度➡1年に2回程度
・実習期間➡1回1~2週間
※学年や子どもの特性によって、頻度や期間は変わる

けっこう長く実習できるんやね。

実習で、子どもと進路先のマッチングを探っていくんやで。
実習の流れと進路決定

実習先はどうやって決まるん?

実習先はみんな(学校・保護者・本人)で相談しながら決めていくんやで。具体的な流れは以下の通り。
実習先・進路先の決め方
①希望する実習先を決める
・学校・本人・保護者で相談して決める
・家庭の希望が尊重されることが多い
②実習をする
・希望先が受け入れできるか確認
・1~2週間の実習をする
③実習後:実習先からの評価がくる
・どんな評価がくる?
➡次回の実習も受け入れできるか
➡卒業後に採用できるか
④次の実習や進路につなげる
➡①に戻る or 卒業

子どもの学年によって、実習の目的も変わってくるで。
実習の目的
◇高校1年生
進路先について学ぶ
◇高校2年生
自分に合う進路先(仕事内容や過ごし方)を探す
◇高校3年生
卒業後に通勤・通所する前提で、そこに慣れる
先生・保護者・本人がすべきこと

希望の実習先を決めるために、しておいた方が良いことはある?

情報収集が大切やで。あとはそれぞれの立場でしといたほうが良いことあるで。
先生が実習に向けてすること
・実習先の仕事内容を知る
・その子と似てる先輩の進路先・実習の様子を知る
➡同じような特性だと働く姿がイメージしやすい
保護者が実習に向けてすること
・主な進路先について調べる
・事業所見学に積極的に行く
➡就労移行・A型・B型・生活介護事業所
※一般企業の見学は難しい
➡希望の仕事内容/勤務地を考えておく
※家庭の希望が尊重される
➡「学校におまかせ」では話が進まない

主な進路先については、すぐ下で説明するわ。
本人が実習に向けてすること
・実習先について知る(調べる、聞く)
➡卒業後にどんな仕事があるのか?
➡先輩はどんな進路先に進むのか?
・自分の希望を先生や保護者に伝える
➡何がしたいのか?
➡何ができるのか?
主な進路先は5つ

特別支援学校では実習を通して進路先を決めていくんやね。卒業したら具体的にどんなところに行くの?

特別支援学校を卒業してからの進路先は主に5つあるで。
卒業後の主な進路
①一般企業(障害者雇用)
②就労移行支援事業所
③就労継続支援A型事業所
④就労継続支援B型事業所
⑤生活介護事業所

きゃー、漢字がいっぱい。早口言葉みたいや。ひとつずつ教えてー
①一般企業(障害者雇用)

主な進路の一つ目は、一般企業の障害者雇用。

一般企業ってことは、よくある「普通の会社」ってことかな。

うん。ただし、障害者雇用やから、仕事時間・内容・異動を配慮してくれるで。

障害者雇用ってなに?

会社は「障害のある人を雇わなければならない」って法律で決まってるんよ。
法定雇用率
会社は一定の割合※の障害者を雇わなければならない
※現在は2.5%(従業員40人につき、障害者1人雇う)
➡2026年4月から2.7%に引き上げ
(従業員37.5人につき、障害者1人雇う)

ちなみに、従業員100人以上の会社が法定雇用率を達成しないと、お金(障害者雇用納付金)を払う必要があるんやで。
②就労移行支援事業所

2つ目は就労移行支援事業所。働くための知識やスキルを学ぶ学校みたいなところやで。

移行?

原則2年間っていう期間が決まってて、次に移る準備をする事業所っていうこと。
就労移行の特徴
・利用料は無料の事業所が多い
・原則は2年間
➡この後は一般企業やA型・B型に進む
・基本的にお金はもらえない
(活動によっては、もらえる)
③就労継続支援A型事業所

3つ目は就労継続支援A型事業所で働くっていうこと。

A型?

就労継続支援にはA型とB型があるねん。そして、A型の押さえるべきポイントは雇用契約を結ぶってことやで。
A型事業所の特徴:雇用契約を結ぶ
・最低賃金(時給)が保障される
・有給休暇を取れる
・社会保険に入ることができる
・B型と比べると、支援者が少ない
➡利用者約10人に対して支援者1人
・月給平均(令和5年度):86,752円
※短時間勤務の人が多い

これだけじゃわかりにくいところもあるから、次のB型事業所と比べてみよか。
④就労継続支援B型事業所

4つ目は就労継続支援B型事業所で働くっていうこと。B型のポイントは雇用契約を結ばないってこと。

雇用契約がなかったらどうなるの?

A型事業所にある最低賃金(時給)の保障や有給休暇、社会保険がないで。
B型事業所の特徴:雇用契約を結ばない
・A型と比べて支援してくれる人が多い
(利用者4~5人に対して支援者1人)
・最低賃金が保証されない
(賃金ではなく「工賃」と言われる)
・月給平均(令和5年度):23,053円

A型の方が条件が良いけど、B型の良いところってあるん?

自分のペースで安心して仕事ができるってことやな。支援してくれる人が多いから、困ったときにも助けを呼びやすいで。

時給がないからこそ、マイペースに仕事ができるってことか。

ただし、B型は事業所によって仕事内容や雰囲気が全然違うねん。だから、実際に見学に行って、子どもに合うかどうか確認するのが大事やで。
⑤生活介護事業所

5つ目は生活介護事業所で過ごすっていうこと。

生活介護?

日常生活のサポートをしてくれる事業所やで。
たくさんの支援が必要な子どもが行くことが多いかな。
生活介護の特徴
・食事、トイレ、入浴支援をしてくれる
・掃除、洗濯、調理のサポートがある
・創作活動、仕事、運動をする

創作活動とか仕事で、少しだけお金がもらえることもあるで。
生活介護事業所の平均月給(工賃)
6,131円
参考:WAMリサーチレポート「2023年度日中活動系障害福祉サービスの経営状況」
進路決めの判断基準は【雇用契約の有無】

5つの進路先はわかったけど、けっきょくどこに進めばいいん?

まずは、子どもが雇用契約を結んで働けるかどうかを考えてみたらいいで。

雇用契約を結んで働けるかどうか?

具体的には、「一般企業・A型を希望するか」、「B型・生活介護を希望するか」。どっちかを決めるといいでってことやな。
雇用契約を結ぶ➡一般企業とA型
雇用契約を結ばない➡B型と生活介護

雇用契約を結ぶとなると、仕事で求められるレベルが高いから、採用も一気に厳しくなるんよね。

え? なんで厳しいん?

最低賃金、つまり時給が発生するからやで。「この人に時給を払うことができるのか?」を雇う側がシビアに判断することになるねん。
※就労移行支援は、事業所ごとに違いがあり、一概には言えません。
一般企業とA型がおすすめの人

雇用契約を結ぶ(一般企業とA型)となると、基本的に1人で仕事を進めれるようになってほしいで。
一般企業・A型に求められる能力
・指示を受けて一人で作業ができる
・継続して仕事に取り組める
(作業能力やメンタルが安定している)
・自分で通勤できる

こんな力があれば、あとは進路先と本人のマッチングやね。

一般企業かA型のどっちにするかはどう決めたらいい?

両方とも選択肢に入れて、子どもとマッチしそうな進路先を探したらいいで。
一般企業がおすすめの人

どんな子どもが一般企業に向いてるとかはあるん?

何回も言うけど、基本は進路先とのマッチングやで。だから絶対じゃないけど、コミュニケーションが得意で働くのが好きな人は一般企業の方がおすすめかな。
一般企業がおすすめの人
①コミュニケーションが得意
自分の意見や希望を答えられる
※手探りで仕事内容を決める中小企業で特に必要
②たくさん働きたい
・お金が欲しい
・体力がある
・休みはそんなにいらない
・働くのが好き
就労継続支援A型がおすすめの人

A型におすすめなのはどんな人?

基本的に1人で作業できる力があるけど、コミュニケーションが苦手やったり、不安が強い人にオススメかな。安心して働きやすいで。
A型がおすすめの人
①コミュニケーションが苦手
決められた仕事内容ができれば良い
②働くことへの不安が強い
・支援者が近くにいるから安心
・手本になる先輩がたくさんいて安心
③自分の課題が明確
・体力や気持ちの問題で長時間働けない
➡週に20~30時間勤務の人が多い
・課題が明確ならサポートを受けやすい
(スピードが遅い、声が出ない、など)

ただし、仕事で求められるレベルは高いんやで。
B型と生活介護がおすすめの人

次は、雇用契約を結ばない方について見ていこか。

B型と生活介護やね。

何回も言うけど、基本は進路先と本人とのマッチングやで。ただし、事業所によってやってることが全然違うから、興味のあるところには見学にいくことが大事やで。
事業所見学の際に見るべきポイント
①仕事内容
・仕事の難易度
・仕事が合うか合わないか
・仕事が選べるかどうか
②雰囲気
・静か/うるさい
・支援員の接し方(敬語かフランクか)
・他の利用者の様子
③仕事で求められるレベル
・作業時間
・求められる精密さ

B型では「ほとんどA型事業所やん!」っていうところもあるし、生活介護ではB型に近いところから、重度の人ばっかりの事業所もある。とても幅が広いんよ。

B型と生活介護は事業所によって違いがめっちゃあるってことか。

だからこそいろんな特性のある人たちの受け皿にもなってるんよね。

違いがあるからこそ、実際に見学して仕事内容や雰囲気を知るのが大切なんやね。
事業所見学で卒業後のイメージを広げる
◎実習前に保護者・本人で事業所見学に行く
◎子どもの将来像をイメージする
・その事業所にいる姿がイメージできるか?
・卒業してからの成長をイメージする
さいごに

今回は特別支援学校を卒業した後の進路の決め方について勉強したで。学校、保護者、本人が協力して、良い実習・自分に合った進路先を決めていくのが大事やね。

自分に合った進路先を見つけて、卒業後の人生を充実していってほしいな。

今の勉強が将来に絶対つながるからな。これからも一緒に学んで行動していこう!
参考資料・URL
①厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」、https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001391049.pdf(2025年11月3日閲覧)
②厚生労働省「事業主の皆様へ:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」、
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf(2025年11月3日閲覧)
③障がい福祉事業の開業支援【大阪・京都・奈良】「就労継続支援A型の人員配置基準をわかりやすく解説」、https://syogaifukushi-osaka.com/shuro-keizoku-shien-a-jinin-haichi-kijun/#:~:text=%E5%B0%B1%E5%8A%B4%E7%B6%99%E7%B6%9A%E6%94%AF%E6%8F%B4%EF%BC%A1%E5%9E%8B%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%93%A1%E9%85%8D%E7%BD%AE%E3%81%AB%E3%81%AF,%E4%BA%BA%E5%93%A1%E9%85%8D%E7%BD%AE%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E5%BE%93%E6%A5%AD%E8%80%85%E9%85%8D%E7%BD%AE7.5%EF%BC%9A1,%E3%81%AE%E9%85%8D%E7%BD%AE%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82(2025年11月3日閲覧)
④WAMリサーチレポート「2023年度日中活動系障害福祉サービスの経営状況」、https://www.wam.go.jp/content/files/pcpub/top/scr/250625_No002.pdf(2025年11月3日閲覧)







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