※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。
このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
子どもの好き嫌い・得意苦手がはっきりしてて、支援が難しいんやけど…😢。
今回は、発達の凸凹を支援にいかして得意を伸ばす方法を考えよか。知能検査【WISC-V(ウィスク-ファイブ)】の活用法についても紹介するわ。
こんな方に読んでほしい
●子どもにこだわりがあって困っている
●子どもが知能検査を受けた後に何をするか考えたい
今回の記事を理解すると、子どもの発達の凸凹に合った支援ができるようになります。
絶対にできるようになるからね!今回は下の本で学んだよ♪
👆知能検査に興味はあるけど(勉強が難しそう)と思ってる人にオススメ。イラストや図がたくさん使われてて、要点がめっちゃわかりやすく書かれてる。
▼この記事の動画版もあります▼
▼今回の内容を1枚にするとこんな感じ▼
※高画質な画像はXにアップしています。https://x.com/manabu_syogai/status/1845187333341224987
なぜ知能検査をするのか?➡得意・苦手を知るため
そもそもなんで知能検査をするん?
得意・苦手な方法が子どもによって全然違うからやで。
漢字はどうやって覚える?
例えば、はてな君はどうやって漢字を覚えてきた?
僕は赤シートを使って漢字を隠しながら読んでくと覚えやすかったかな。
なんで?
漢字の覚え方ひとつでも、その子の得意・苦手な方法がわかるもんやねん。
漢字ドリルをする
小学校とかでは漢字ドリルってよく使われるよね。
漢字ドリルは手先が器用な子どもは覚えやすいけど、不器用な子どもにとっては苦痛やねん。
手先が器用な子ども
手先が不器用な子ども
しかも、発達障害の子どもは手先が不器用なことも多いからドリルだけに頼るのは良くないね。
赤シートで隠して覚える
中学生とか高校生になると、漢字だけじゃなくて英単語とか歴史の用語とかも赤シートで隠して覚えだすよね。
赤シートは、漢字を見て形をとらえられる子どもにとっては良いけど、見る力が弱いとなかなか覚えられないんよね。
目で見て形をとらえられる子ども
形を捉えるのが苦手な子ども
見る力が弱い子ども
声に出して覚える
声に出して漢字を覚えるのが得意な子どももおるね。
そういえば、僕もよく声に出しながら漢字練習をしてたわ。
単に声を出すことだけじゃなくて、絵かき歌で漢字を覚えたりもあるなぁ。
ミチムラ式漢字学習法っていうのもあるで。
ミチムラ式漢字学習法?
視覚障害のある子どもが漢字を学習するために考えられた方法やで。パーツごとに唱えて覚えるんよ。「空」は「ウルエー」みたいに。
なるほど。「空」っていう漢字を分解すると、カタカナの「ウ」と「ル」と「エ」みたいやね。
今では視覚障害者だけでなく、読み書きの苦手な子どもたちが漢字を覚えるときの救世主にもなってるで。
声を出すのが好きで、聞いて覚えるのが得意な子どもやったら効果がありそう!
ただ、声を出したり、聞く力が弱い子どもにとっては苦痛なんよね。
声を出すのが好きな子ども
聞いて覚えるのが得意な子ども
声を出すのが苦手な子ども
聞く力が弱い子ども
音に過敏(うるさいのが苦手)な子ども
どうやって漢字を覚えさせる?
どの覚え方にも得意な子どもと苦手な子どもがおるやん。けっきょく、どの方法がいいの?
それは、大人がいろんな覚え方を子どもに経験させることやね。そして子ども自身が「自分に合った方法」を見つけていくのがええで。
良さそうやけど、時間がかかりそう。しかも、子どもが「自分に合った」って判断するのはけっこう難しくない? 僕はいまだに「自分に合った服」っていうのがわからないよ。
そんなときに知能検査がオススメ。知能検査をすれば、子どもの得意・苦手を手っ取り早く知ることができるし、他の大人たちとも共有できるんよ。
子どもの得意・苦手を知れば、子どもに合った学習方法・支援方法も考えることができるんやね。
IQが高い/低いからといって、一喜一憂しない
IQ(知能指数)の数字だけを見て喜んだり、落ち込んだり、悲しんだりする人がおる。
確かに、子どものIQが120やったら喜ぶし、IQ80やったら落ち込みそうやけど。
でも、これは注意すべきことやねん。だってそもそもIQって何か知ってる?
IQとはなにか?
IQって頭の良さじゃないん?
IQは、頭の中にあるいろんな力(記憶力・情報処理能力・知識・読み書きなど)をまとめて1つの数字にしたものなんよ。
例えば、バットで打つ力・ボールを投げる力・走る力をまとめて野球力っていう数字であらわしたって感じか。数字の高さよりも、中身がどうなってるかを知るのが大事なんやね。
しかも、IQの数字には幅がある。検査を受ける子どもの状態によって数字が変わるんよね注。
IQの数字は子どもの状態によって変わる
例えば、知能検査の結果では、
【IQ90(90%信頼区間85~95)】と書かれている。
これは【同じ試験をすると90%の確率でIQ85~95になる】という意味。
➡IQは絶対的な数字ではなく、かなり変動するという前提でみる必要がある。
野球でもコンディションによって活躍できる日とあんまり活躍できない日があるもんね。
だから知能検査の中身を見て、その子との得意と苦手を知る。そして、支援につなげていくことが大切なんやで。
知能検査の良いところ
IQの数字だけじゃないんやったら、知能検査はどんな風に活用することができるん?
知能検査の良いところの1つ目は結果を共有できること。2つ目は長所をいかした支援ができること。
1つ目の結果の共有については、得意と不得意が数値で出てくるからみんなで共有できるってことやね。
家・学校・医療機関などがチームになって子どもを支援するときに、情報・目的・方法を共有しやすくなるんよね。
2つ目の長所をいかすっていうのは、苦手だけじゃなくてその子の得意な方法もわかるからそっちの方向から支援できるってこと?
その子の得意をいかした支援で課題を解決できるようにするんやね。例えば、楽譜を読むのが苦手な子どもに対して、動画を活用して練習をサポートするとか。
WISC-Vの概要
そろそろWISC-V(ウィスク-ファイブ)について、詳しく知りたくなってきたぞ~
じゃあまずは概要を下でサクッと説明するで。
WISC-Vの概要
●対象年齢:5~16歳
●検査時間は1時間程度(子ども相手だと90分以上かかる)
●出てくる数値
①FSIQ:全体的な知能のレベル(IQと同じ)
②5つの能力:5つの領域別に数値が出る
対象年齢は参考程度やな。18歳でもWISCを受けれるところもあるで。逆に5~16歳でも、言葉や文字での意思疎通ができない場合は違う検査をオススメするわ。
WISCーVでわかる5つの能力
WISCーVの特徴は、5つの能力がそれぞれ数値で出ることやね。これで子どもの得意と苦手がわかるようになってるんやで。
WISCーVでわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
言葉の理解力、やり取りする力
②視空間(見る力)
どこに何があるかイメージしたり理解する力
③流動性推理(見る力)
その場の状況を判断して対応する力
④ワーキングメモリ(短期記憶)
見た・聞いたことを少しの間覚える力
⑤処理速度(見て単純作業をする力)
見たものを書き写すなどの単純作業を素早く正確に行う力
見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力
①言語理解(言葉の力)
言語理解は言葉に関係する力?
言葉の理解力や言葉でやり取りする力やで。
この能力(言語理解)が…
高い場合:言葉の指示が通りやすい
低い場合:言葉だけのやり取りでは理解できず、困ってしまう
この力が弱い子どもには視覚化が有効やで。目で見て指示がわかるように、図・写真・絵を使うことで、子どもの困り感を減らすことができる。
①言語理解:言葉の力(言葉の理解力、やり取りする力)
②視空間(見る力)
視空間は見ることに関係する力?
どこになにがあるかイメージしたり、理解する力やで。
この能力(視空間)が…
高い場合:工作・スポーツで見本通りにできる。一部を見て全体を理解できる
➡黒板や教科書を理解する力も高い
低い場合:見本通りにできない・片づけが苦手・忘れ物が多い・全体が見えない
この力が弱い子どもには、他の能力とのバランスを見てその子が理解しやすい方法を考えるんやで。
例えば、①言語理解が得意やったら、文字とか言葉にして伝えたりするのが有効なんやね。
ちなみにこの力は鍛えることができる。パズルとかオセロなどのボードゲームで鍛えることができるし、授業でノートを取るのも良いトレーニングになるで。
②視空間:見る力(どこに何があるかイメージしたり理解する力)
③流動性推理(見る力)
流動性推理も見ることに関係する力?
その場の状況を判断して対応する力やで。
この能力(流動性推理)が…
高い場合:初めての場所でも対応できる。指示の内容を予測して動くことができる
低い場合:その場で何をしたらよいか分からない➡落ち着きがなく、他のことをする
この力が弱い子どもには見通しを持たせることが大切やで。行動の仕方をあらかじめ図や写真で示しておくことで、その子は何をしたらよいかが分かって安心できるんや。
③流動性推理:見る力(その場の状況を判断して対応する力)
④ワーキングメモリ(短期記憶)
ワーキングメモリは短期記憶の力?
見た・聞いたことを少しの間、覚える力やで。
反対の言葉は長期記憶?
自宅の住所とか自転車の乗り方なんかは長期記憶って言われるね。
この能力(ワーキングメモリ)が…
高い場合:指示されたことを覚えて、すぐに活動・作業に取り組むことができる
低い場合:指示を覚えられない(10秒ほどで指示を忘れ、長い説明の後には動けない)
この力が弱い子どもには指示を文字や図で示すことが有効やで。また、メモやタブレットを持たせてメモなどで記録する練習なんかも良いね。
④ワーキングメモリ:短期記憶(見た・聞いたことを少しの間覚える力)
⑤処理速度(見て単純作業をする力)
処理速度は見て単純作業をする力?
見たものを書き写すなどの単純作業をすばやく正確にしたり、見たものを正確にとらえて素早く処理する力やで。
この能力(処理速度)が…
高い場合:間違い探しが得意。テキパキと場に応じた作業ができる
低い場合:作業のスピードが遅い。焦ってミスが増える
この力が弱い子どもには「時間がかかっても良いよ」という声掛けが有効やね。時間がないときは、時間で作業を区切っても良いね。
「これが終わったら次にこれをするよ」ではなくて、「○○分になったら、次にこれをするよ」って伝えるんやね。
⑤処理速度:見て単純作業をする力
●見たものを書き写すなどの単純作業を素早く正確に行う力
●見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力
ひとつひとつ確認をした後で、全体の表を見るとわかりやすくなるね。
WISCーVでわかる5つの能力
①言語理解(言葉の力)
言葉の理解力、やり取りする力
②視空間(見る力)
どこに何があるかイメージしたり理解する力
③流動性推理(見る力)
その場の状況を判断して対応する力
④ワーキングメモリ(短期記憶)
見た・聞いたことを少しの間覚える力
⑤処理速度(見て単純作業をする力)
見たものを書き写すなどの単純作業を素早く正確に行う力
見たものを正確にとらえて、すばやく処理する力
WISC-ⅣとWISC-Ⅴの違い
最後に、中上級者向けに、以前のWISC-Ⅳ(ウィスク・フォー)と比べて、どんなことが変わったか確認しとこ。
以前のWISC-Ⅳを知らない人は飛ばしても良い部分やね。
うん。主な変更点は2つ。
以前のWISC-Ⅳからの主な変更点
①WISC-Ⅳでは、「知覚推理(知覚統合)」の能力を測っていた
➡「視空間」と「流動性推理」に分けて測れるようになった
②WISC-Ⅳでは、ワーキングメモリは聞いた情報の短期記憶だった
➡聞いた情報に加えて、見た情報の短期記憶も図れるようになった
より詳しく、子どもの得意と苦手が測れるようになったってことやね♪
ただし、WISC-Ⅳでも得意と苦手の傾向が分かるから大丈夫。だから「WISC-Ⅳしか受けたことない!」と焦って新しいWISC-Ⅴを受けに行く必要はないで。
他の知能検査
最後に、WISC以外の検査について、概要とポイントをさらっと押さえておこう。
WISC以外にも知能検査があるんやね。
めっちゃたくさんあるんやけど、ここでは有名どころを3つ紹介しとくで。
WISC以外の知能検査
●KABC-Ⅱ(ケイエービーシー・ツー)
●田中ビネー知能検査Ⅴ
●新版K式発達検査
●KABC-Ⅱ(ケイエービーシー・ツー)
KABC-Ⅱは、WISCみたいな認知検査に加えて、習得検査もあるのが特徴的やで。まずは認知検査から説明していこか。
認知検査
認知検査:WISCと似た検査。WISCの5つの能力とは少し違う側面から知能を測る
違う側面から知能を測るってどういうこと?
例えば、情報を処理するときに、継次処理が優位なタイプと同時処理が優位なタイプがおるねん。
ちょっと言葉が難しいわ。分かりやすく説明して!
例えば道案内をされるときに、
順番に説明される方が理解しやすかったら継次処理が得意なタイプ
地図で説明される方が理解しやすかったら同時処理が得意なタイプってこと。
継次処理 優位タイプ
自分が進む道を順番に説明された方が理解しやすい人は継次処理が得意ってことか。
◇継次処理優位タイプ
1.出口を左折します
2.次の交差点を右折します
3.右側の2件目が目的地の花屋です
➡順番に説明されると理解しやすい
このタイプに指示するときは、箇条書きのメモが有効やで。
同時処理 優位タイプ
自分が進む道を地図で説明された方が理解しやすい人は同時処理が得意ってことか。
◇同時処理優位タイプ
➡視覚的に全体をイメージできると理解しやすい
このタイプに指示するときは、図や写真が有効やで。
計画尺度
認知検査で測ることができる能力はあと2つ。1つ目は計画尺度。
計画?
見通しをもって計画を立てる力のことやで。
学習尺度
2つ目が学習尺度。
学習?
見たこと・聞いたことを使って、新しい物事を覚える力のことやね。
学習尺度が高いと、新しい漢字とか算数の公式もすんなり覚えることができるってことか。
習得検査
習得検査:学校などで学んだことを理解しているのかを測る検査
語彙・読み・書き・算数の4つの項目で、子どもの得意と苦手を知ることができるで。
クロスバッテリーアプローチ
KABC-ⅡがWISC-Ⅴで測りきれないものを測れるなら、一緒に検査すると得意・苦手をより詳しく知れるってこと?
そうやで。それをクロスバッテリーアプローチっていうねん。
バッテリーって野球みたいやね。
実は、WISC-ⅤとKABC-Ⅱのもとにある理論が同じやから、2つを組み合わせるとより詳しく知能を測ることができるんよね♪
●田中ビネー知能検査Ⅴ
WISCやKABCと比べて田中ビネー知能検査Ⅴが特徴的なのは、結果で出るのはIQの数値だけってことやで。
IQがぱっと出てくれるとわかりやすいね。(^^)/
わかりやすいからこそ注意も必要やで。数値の高い/低いだけで一喜一憂せずに、今後の対応や支援を考えるのが大切。検査時の子どもの様子も教えてくれるから、そっちにも注目してや。
●新版K式発達検査
もうひとつの新版K式発達検査っていうのはどんなんなん?
新版K式は、発達を3つの領域に分けて測ることができるねん。
新版K式発達検査でわかる3つの領域
①姿勢・運動 の発達
②認知・適応 の発達
③言語・社会 の発達
姿勢とか運動も発達障害を疑うときに大事って聞いたことある!
新版K式は発達の特徴を測ることができるから、その後の子育てや支援につなげやすいんやで。
注意:違う検査の数字を比べても意味がない
いくつかの検査を受けたときにやりがちやねんけど、違う検査の数字を比べることはできないって思っといたらいいで。
前に受けた新版K式では54やったけど、今回受けた田中ビネーでは65やった。子どもが成長したー!! って単純に思わないってことやね。
うん。違う検査の数字だけを比べることはできない。これは覚えといてや。
行動しよう(今の小さな変化が未来の大きな変化につながる)
学んだ後は行動することやで。対応方法とか指示の出し方とか支援の仕方で、ちょっとでも「やってみよう!」と思えることがあったなら行動すること! 今の小さな積み重ねが大きな変化を生み出して、より良い未来につながるんやで(^^)/
わかった!これからも学んで行動していくぞー!
コメント