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このブログでは『特別支援教育』に関する情報をわかりやすく解説します。10年以上の教員経験を踏まえて、実践に役立つことを心がけています。
性別のことで悩んでる子どもがおるんやけど、学校でできる支援ってあるん?
性別に違和感のある子どもには学校での支援と医療的支援が二本柱になるんよ。しかも対応を間違えると、自死にまでつながる深刻な問題やからしっかり学んでいこか。
こんな方に読んでほしい
●性別ボーダーレスな子どもが身近にいる
●対応や支援のポイントを知りたい
●カミングアウトされたときの対応方法を知りたい
●支援のレベルアップをしたい
今回の記事で、性別に違和感のある子どもへの支援の進め方がわかります。
絶対にできるようになるからね!
今日は下の本で学んだよ♪
👆性に悩む子どもの親や先生向けの本。支援の注意点や具体的な方法を知りたい人にオススメやで。ちょっと古い(2018年刊)けど、めちゃめちゃ熱のこもった一冊!
👆1冊目と比べるとあっさりと書かれてる本。でも、だからこそ端的でサクッと要点だけがわかるので入門書としてオススメやで。
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性別に違和感がある子ども とは
男子やのに女子っぽかったり、逆に女子やのに男子っぽい子どもがちょくちょくおるけど、ちょっと勉強した方がいいんかな?
性別に違和感がある子どもたちは悩みが深いことが多いんよ。だから、周りの大人が学んで、そんな子どもをサポートできたらステキやね。
性別の違和感(トランスジェンダー)とは、生まれたときの性別と自認する性別が違うこと
トランスガール:男で生まれた。でも女の気持ちを持っている
トランスボーイ:女で生まれた。でも男の気持ちを持っている
TとLGBは別々に考えよう
LGBTって最近よく聞くもんね。性別の悩みってそういうこと?
LGBTは性的少数者の総称
L:レズビアン(女性同性愛者)
G:ゲイ(男性同性愛者)
B:バイセクシュアル(両性愛者)
T:トランスジェンダー(戸籍の性別と自認する性別が一致していない)
うん。学校でできる支援で考えると、特にT(トランスジェンダー)に注目やで!
最初のLGBは気にせんでいいの?
LGBは「誰を愛するのか?」ということやから、学校は口出ししにくいねん。というか、問題が起きなければ口を出す必要もない。
なるほど。確かに男女関係なく(あの子が好き)っていう秘めた思いは先生にどうこうしてもらう問題ではないもんね。
ただ(自分は変かも?)って悩みやすいから、子どもに相談されたら全力でこたえてあげてや!
じゃあ、T(トランスジェンダー)は学校で対応できるん?
性別の違和感(トランスジェンダー)とは、生まれたときの性別と自認する性別が違うこと
トランスガール:男で生まれた。でも女の気持ちを持っている
トランスボーイ:女で生まれた。でも男の気持ちを持っている
うん。だって、学校は制服とか授業・行事を男女で分けることが多いやろ? 男女の区別って集団生活をする上では有効やねん。でも、トランスジェンダーの子どもはその男女分けに強いストレスを感じるんよね。だから学校でのサポートが大切になってくるんよ。
確かに。(自分は違う性別に入れられてる)っていう違和感を感じる機会が学校ではたくさんあるってことやね。
ちなみに性別の違和感については、前は【性同一性障害】と言われてたんやけど、最近は【性別違和】とか【性別不合】って言われるから要チェックやで!
今は性同一性障害って言わないんやね。金八先生で知ったときは衝撃的やったわ。
診断名の変更:【性同一性障害】➡【性別違和】【性別不合】へ
”障害”という言葉を使わない世界的な流れ
2013年 アメリカ精神医学会【性同一性障害➡性別違和】
2022年 WHO(世界保健機関)【性同一性障害➡性別不合】
2024年 日本では、【GID(性同一性障害)学会➡日本GI(性別不合)学会】に名称変更
2種類の生きづらさ
性別に違和感のある子どもはどんなことに悩むの?
大きくは2つ。自分の身体への悩みと周りの接し方に対する悩みやで。詳しく見ていこか。
自分の身体への悩み
自分の身体への悩みってどういうこと?
自分の性自認と身体的性別の不一致からくるもので身体的障害って言われる悩みやで。
ん~、例えば自分は男やと思ってるけど身体は女子やから悩むってこと?
そういうことやね。特に第二次性徴への嫌悪感・拒否感が強く、悩みも深刻になるんやで。
第二次性徴の始まり
男子の身体は10~13歳から始まる
女子の身体は8~12歳から始まる
➡どんなことに悩むか?
トランスガール:声の低さに悩む
トランスボーイ:胸のふくらみ・筋肉がつかないことに悩む
ここで大切になってくるのが学校以外の他の機関とのつながりやで。
他機関とのつながり
専門医:性別不合学会認定医(性別不合学会HPで確認できます)、教員研修の講師
病院:養護教諭に相談。学校医やジェンダークリニック、精神科病院
なんで他の機関とつなぐことが必要なの?
それは学校ではできない支援をたくさんしてくれるからやで。
学校以外の機関での支援
●医療的サポート(ホルモン療法)
➡自認する性別のホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン)で体を変えていく
➡二次性徴のときに出るホルモンを抑制する(ただし、高額になるので注意!)
➡将来的に必要になれば性転換手術(ただし、ここまでする人は実は少ない)
●ボイストレーニング:声を低く・高くなるように練習する
●ピアサポート(当事者同士で支え合う集まり)の紹介
周りの接し方に対する悩み
2つ目の、周りの接し方に対する悩みってどういうこと?
自分の性自認と他人・社会からみなされる性別との不一致からくるもので社会的障害って言われる悩みやで。
ん~、例えば自分は男やと思ってるけど周りからは女子として扱われて悩むってこと?
そういうことやね。学校が行う取り組みはこっちへのアプローチがメインになるで。ただ、人とか状況によって悩みポイントが違うから、その子や親とよく話し合うことが大切やね。
性別に違和感がある子どもへの支援のポイント
じゃあ、実際に性別に違和感がある子どもたちにできる支援ってあるの?
あるで!今回は、①学校ができる対応、②後戻りができる選択肢、③カミングアウトがなくても対応する、という3つのポイントに絞って解説していくわ。
①学校ができる対応
①学校ができる対応っていうのはどういうこと?
学校ができる対応については2015年に文部科学省から通知が出てるんよ。「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」っていう通知が。
学校ができる対応例
服装:自認する性別の制服や体操服を認める
髪型:長い髪型を認める(戸籍上男性)
更衣室:保健室・多目的トイレなどを使用できる
トイレ:職員トイレ・多目的トイレなどを使用できる
呼称の工夫:通知表などの校内文書を希望する名前と性別で受けることができる
保健体育:別メニュー・水泳の上着(戸籍上男性)・代替(補習・レポート)を認める
部活動:自認する性別への活動に参加
修学旅行など:1人部屋・入浴時間をずらす
けっこういろんなことが認められてるんやね。
ただし、先回りの対応をしすぎないことも大切やで。
え?どういうこと? いろんなことをやってあげたらいいんじゃないの?
子どもによって悩みとか希望がかなり違うからやねん。例えば、「プールがイヤ」と言ってても、水着を工夫したら入れる子どもと絶対に肌を見せなくないから見学しかないっていう子どもがおるねん。
悩みポイントが違うんやねぇ。
だから、子どもや保護者と一緒に話し合い・悩み・妥協点を探っていくことが重要やねん。そのとき、先生も一人で抱え込まずに学校みんなで対応することやで。
②後戻りができる選択肢
②後戻りができる選択肢っていうのはどういうこと?
男子か女子かを決めずに、あとでどちらかを選べるようにしておくことが大事ってことやで。例えば、制服を男子用から女子用に変更するのではなく、男女兼用の体操服で登校する、っていうことやね。
男女兼用の体操服にしとったら、今後、男子用の制服にも女子用の制服にもかえることができるってことやね。 なんでこんな対応の方がいいん?
それは子どもの性別の認識はゆらぐことが多いからやで。
小学生の訴える性別違和の多くは、青年期・成人期へは持ち越さないという研究結果もあります。
だから、教師が子どもの心を理解しようと熱心になりすぎることには注意が必要やで。拡大解釈をしたり、男女どちらかの方向に誘導する聞き方はダメなんよ。
ここでも、必要以上に先回りしないことが必要なんやね。
ただし、二次性徴の開始とともに違和感が悪化するときには注意が必要
成人期になっても苦痛が続き、自傷や自殺の可能性が上がってしまう。
ここで大切にしたいのは、男・女のどちらにもとらわれない多様な生き方を認めることやで。
性別二元論(人類は男と女の2種類だけだ)からの脱却
➡「男じゃなければ女」「女じゃなければ男」ではなく、もっと幅を持って考えよう。多様な性があることを認め、どちらかに決めなくても人として幸せな人生を探していく。
教師は子どもの多様な生き方を前提にして、本人が理想と現実に折り合いをつけるためのサポートをしていくんよね。
理想と現実に折り合いをつける?
性別に違和感がある子どもの理想を完璧に叶えることは難しいんよ。性転換手術をしても望む体にはなれないし、戸籍上の性別で対応されることも社会では多い。だから、その子が性別にかかわらず、安心して過ごすための支援をしていくことが教師には求められるんよね。
「性転換手術をした方が良い?」とか「治療を始めたら楽になる?」とか「戸籍の名前は変えるべき?」とか気になるんやけど…。
この質問に対する答えは人によって違うんよ。だから、本人や保護者と話し合って妥協策(納得できる方法)を探っていくことになるんよね。
③カミングアウトがなくても対応する
③カミングアウトがなくても対応するっていうのはどういうこと?
カミングアウト(性別違和を誰かに打ち明けること)ってめっちゃ勇気がいることやねん。しかも、子どもの性自認ってそもそもゆらいでるんよね。
小学生の訴える性別違和の多くは、青年期・成人期へは持ち越さないという研究結果もあります。
だから、ちゃんとしたカミングアウトがなくても、子どもが困ってる・苦しいって訴えたら対応していくことが大事ってことやね。
そういうこと。ただ、カミングアウトされたときの対応も知っておきたいと思うから、カミングアウトには3種類あるってことは知っておいたらいいかな。
1.生きるためのカミングアウト
生きるためのカミングアウト?
キーワードは切迫感。周りに相談できずに抱え込んできたものを吐き出す。タイミングを計り、決死の覚悟で行われるんや。
どう対応すればいい?
子どもの言葉を受け止め、落ち着かせてあげることやね。否定をしない。話をさえぎらない。1度に先のことまで聞きすぎないことが大事。「つらかったね。話してくれてありがとう。先のことはゆっくり考えていこ」ってこと。
2.変化を求めるカミングアウト
変化を求めるカミングアウト?
キーワードは焦りやいらだち。周囲から体の性別で区別せれるいらだち、自分のことが理解されないもどかしさ、せっかくカミングアウトしたんだから後戻りできないという焦り。
どう対応すればいい?
子どもが求めていること・変えたいことを丁寧に聞き取ることやね。このとき、「女性/男性になるためにどうする?」ではなく、「今のつらい状況を少しでも楽にするためにどうする?/どうしてほしい?」と話し合うことが大事。
3.自己表現としてのカミングアウト
自己表現としてのカミングアウト?
キーワードは落ち着きや自信。本人なりの自分の立ち位置を確立したときにおこなわれる。
どう対応すればいい?
配慮は遠慮はしないでお互いに思っていることを話せばいい。この話し合いは悩み相談ではなく、自分の持っている意見をお互いに交換しているだけやねん。
カミングアウトって一言で言っても、3種類あるんやね。
ただ、どんなカミングアウトでも1度で終わらないことやで。定期的に話し合っていくことが大切やな。
番外編:性の多様性が受け入れられない人は歴史と生物から学ぼう
性の多様性がどうしても受け入れられない! っていう人はどうすればいい?
そんな人は日本の歴史と生物を学ぶことをオススメするで。
日本は江戸時代まで性別におおらかな社会だった
日本が昔は性別におおらかやったってなんか聞いたことあるかも。
西洋では性別を越えることが罪やったと考えると、日本はかなり認められてたともいえるで。
キリスト教では、同性愛・女性が男装すること/男性が女装することが罪とされました。中世フランスで有名なジャンヌダルクも、女性が男装をした罪で火あぶりにされました。
一方、江戸時代の日本では歌舞伎の女形は日常生活も女性として暮らしてたんやで。
歌舞伎は役者が全員男やから、女役の人は、男やのに女性として暮らしてたってことか。
あと、平安時代の『とりかえばや物語』っていう話も多様な性を表現してるで。男女で生まれた兄妹の話で、兄ちゃんを女性として育てる、妹を男性として育てるっていう話やねん。興味のある人は下の本を読んでみてや♪
生物の多様性を考えると、2つの性別とは限らない
2つの性別とは限らない?
2種類の性別、つまり男と女っていう性別が人類の進化の最終形態ではないかも…っていう話やで。
まなぶ君、急にどしたん? ちょっとよくわからんねんけど。
ながーい時間の中で見ると、最初の生物は無性生殖やってん。つまり単純な分裂で増えていってたんやな。
ミドリムシが分裂して増えていったりする方法やね!
そこからオス・メスの有性生殖の生き物が増えていったんやね。さらに今では、陸上植物とか無せきつい動物では、オス・メス・両性の3タイプの生物がおったり、魚類では集団の環境で頻繁に性転換するような魚(ブルーヘッドなど)がおるんやで。
そう考えると、ながーい目で見たときに、人間もそんな進化をする可能性があるってことか。
おもしろいアイデアやろ? 下の本は「LGBTを性の進化の過程かもしれない」とも書いてるで。おもしろい本やったし、興味のある人は一読の価値あり!やで。
おわりに
勉強した後は行動することやで。今の小さな積み重ねが大きな変化を生み出して、より良い未来につながるんやで(^^)/
わかった!これからもまだまだ学んでいくぞー!
最後にこの記事で紹介したオススメ本・ビデオを一覧にしとくで。この記事だけでも十分やねんけど、もっと細かく知りたいっていう人は読んでみてや。
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